プロローグ
初の投稿作品です!皆さん、どうか温かい目で読んで頂けると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!
2096年○月x日…
真夜中だった。それはそれはこの世の見納めにはちょうど良いと思わせる程の綺麗な満月の夜だった。世間ではあと4年で21世紀が終わって、22世紀が始まると盛り上がってる時期だった。
そんな中、日本の某病院のある病棟のベットで寝込んでいる老人が今まさに危篤状態になっていた。ナースコールも必要ない、これが自分の寿命なんだと老人は悟っていた。もう十分人生を謳歌した、だが最後にせめてこの人気のない部屋で何か大声を上げてやろうかと考えていた。どんなことを言ってやろうと考えに考え抜いて、しばらくしてようやく浮かび、目を一旦閉じ深呼吸をし、そして目を開いて、思いついたことを抑え目の大声で出した。
「Tー800になりたい!」
「「「え?」」」
するとさっきまで見ていたのと違う光景がそこにはあった。暗い部屋の天井ではなく、電気が付いた明るい天井と驚いた顔で覗いてくる若夫婦と看護婦の三人といった景色だった。まず、恥ずかしさが込み上げてきた。死に際で人前で言えないことをはっきりと言ってしまった、人前で。
「Uh oh...失礼、寝言を言ってしまっただけで…」
その瞬間、すぐにおかしいのは自分であることに気付いた。何故今喋った自分の声が幼く聞こえるのか。口にあるはずの歯が・・・あ、あと入れ歯もあったはずなのに、何故無いのか。。目の前の若夫婦は誰だ。看護婦もいつもの担当の人ではない。そして3人とも何故か大きく見える。よく見たら部屋の天井もいつもと少し違う。
(何これ?)
「もう言葉を覚えたのか!?」
「すごい!さすが私たちの子ね!」
「え?いくらなんでも早すぎでは?」
目の前の三人が理解不能なことを言っている。覚えた? 子? 早すぎ? いやそれより自分がそもそもどうなっているのかを確認しないと・・・。そう考えて体を起こそうとしたら…
一瞬で頭が混乱した。頭を銃で打ち抜かれたような衝撃で信じられなかったのだ。
見慣れた老人の下半身だったはずの体が、見慣れない赤ん坊の体になっていることに!
「What a fuck!(マジかよ、くそ!)」
「あ~そのつまり…お前はあれか、自分は生まれ変わりだって言いたいのか?」
「じゃなかったら今お二人さんと喋っている赤ん坊の存在が謎になるけどな」
看護婦を部屋から追い出しもらい、三人だけでお互いに説明し合い、今の状況を確認し合った。今の今まで自分が老人で別の病院のベッドで寿命を迎えようとしていたこと、二人の男女は夫婦で生まれたばかりの子どもを眺めていたところだということ、自分がその子どもになっていること、ここが日本であること、現在の日にちが自分の覚えている日にちと五日ほど違うこと、異世界ではなく自分が知っている現実世界であること。
「おい、本音がダダ漏れだぞ。そんなに異世界の方が良かったのか?」
「誰でも一度は憧れるだろ?ファンタジー。大体このなろうサイトで人気になって本格的に連載することになった作品、異世界に転生してるものばっかじゃん。つまりそれだけ異世界に行ってウハウハになることに憧れがあるってことだ」
「いやいやメタいメタい!あんまりそういうこと言うなよ・・・」
「そもそもよ、生まれ変わること自体ありえないし」
「でもありえたね・・・あーじゃなかった!ありえましたね・・・」
「あ~構わんよ、別に敬語使わなくても。結局俺が二人の息子なのは変わらんからな」
「じゃあ親として言おうか。お前もその口調はやめとけ。赤ん坊の姿でその口調は見ててすごく怖いからな」
「・・・ボスベイビーでも見れば?」
二人の名前を聞いたところ、杉田大介、沙奈江だという。つまりこれから自分は杉田と名乗ることになる。それなりに良く聞く苗字だから悪い気もしないし、むしろ良いと思う。
それにしても、それなりに普通の人生を終えた、思い残すことはもう無いと覚悟を決めていたのに新しく始まった二度目の人生。一体どう向き合えば良いのだろうかさっぱりだ。まるでキャプテン・アメリカが自分の命を犠牲にしようとしたけど氷漬けになってただけで実は生きていて70年経った事実を突きつけられた気分だよ。
「あ。そういえば俺の名前って決まってる?」
二人は互いに顔を見合わせ、恥ずかし気にこっちを向いた。
「あ~決めてるけど、大丈夫か?」
「前世での名前じゃなくて良いの?」
「二人が考えたのなら使いたいさ。どんな名前?」
(まさかおかしな名前でも考えたのか?)
沙奈江さんはニコニコしながら鞄からノートを取り出してページをパラパラとめくり、これよ、と見開きのページにある名前を見せてきた。
・・・16年後、
早朝の杉田宅にて、
ジリリリと鳴り響く時計を止めてベッドの上で起き上がってやあこんにちわ。
新しく着る学ラン制服にシューズ、スクールバッグ、新調した筆箱、
これらが必要な行事と言えば、それは高校入学初日だ。
小説や漫画、アニメ、映画ではよくあることだけど、なんでどの物語も高校生活から始まるのか。俺なりに考えてみたけど、その年頃が一番思春期真っ盛りで青春バリバリだって公に見られがちだからなんだと思うんだよね~。
ま、俺は全然そんなの無かったけど。
とにかく、二度目の高校生活を前に、俺は爺さんになった身でありながら内心実は楽しみにしてるんだ。
クラスメイトと仲良くできるかとか、今の授業はどんなだとか、部活は入るのかとか、考えることがたくさんあってワクワクさんだ。
さあ、生まれ変わって16年、杉田...
「ギラ〜!朝ごはん作るの手伝って〜!」
...杉田義羅の高校生活、いっきまーす!




