我が家の癒し
「うん、今日も旨いな。やっぱりセシリアのご飯は世界一だ。」
ヴァイツの両手にはスプーンと小麦色のパンがある。それらを交互に口に運び、旨い旨いと口をこぼす。
すると、リビングの隣にあるドアが開きっぱなしのままな部屋、寝室から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。
「んぎゃーんぎゃーんぎゃー」
「ミハエルが起きちゃったか。オムツかな?ミルクかもな?」
ヴァイツはそう言いながら寝室へと向かう。
寝室には大きなダブルベッドがどんとあり、そのすぐそばに揺りかごが置かれている。
揺りかごの中では赤ん坊が1人泣いていた。
「よしよし、今オムツ交換してやるからな。」
ヴァイツはそう言って赤ん坊のオムツに手をかけ、ゆっくりと外していく。すると、
「うわっ、ミハエル、やめろ、うわっぷ」
赤ん坊のオムツを外した途端透明な何かがヴァイツの顔面目掛けて飛んでくる。やがて、それは勢いを少しずつ弱めていく。
「ふう、びっくりしたなー。こんな不意打ちもできる子だったんだな。将来が楽しみだよ。お父さんは大丈夫。だからゆっくりおやすみ。」
ヴァイツは赤ん坊を揺りかごに寝かせ、汚れた服を脱いでラフなシャツに着替えて食事に戻る。すると、玄関からカチャリと音がなった。セシリアが戻ってきたようだ。
「ただいま。」
「おう、おかえり」
「あの子たち、E-7に住まわせたわ。かなり気に入った様子だったわよ。」
「そうか、Eっていったら小麦畑があるところだな。7ってあいてたっけ?」
「前の人ならBの工業区域に住み込みで働きたいからって出ていったわよ。」
「そうか、なんか、どんどん町が大きくなっていってるな。」
「気のせいよ。そもそも全員が元死者なんだから。町といっても食べ物を必要としない人たちばかりよ。それに、時々私の遊びにも付き合ってくれるし。ミハエルも毎日喜んでくれているわ。」
「時々だけど毎日、か。皆働き者だなー。」
「あなただって頑張ってるじゃない。帝国騎士団、副団長。竜も使わずに私達のためによく頑張ってくれてるわよ。」
「セシリア、ありがとう。でも最近。なぜか俺の周りをうろちょろする奴が増えてきて、竜に乗って来てるのがそろそろばれそうなんだ。もしかしたら、もう見つかっているかもしれない。」
「それでもいいわよ。私達にはあの子がいるもの。それに平穏に暮らそうと思えばこの町もあるわ。」
「そうだな。もうあの国とはおさらばってのも悪くないかもな。俺にはセシリアとミハエルがいるんだ。三人で仲良くってのも悪くないな。」
「私はもう1人増えてもいいと思ってるんだけど。どうかしら?」
「もう1人、か。ならまた頑張ろうか。セシリア。」
「ええ、頑張るわ。ふふ、なんだかおかしいわね。」
「ははは、そうだね。」
二人の時間はゆっくりと過ぎて行く。そこには誰も横入りする余地はなかった。
A中央 首都のようなもの。居住区はない。
B北 工業区域。工場ばかり
C西 商店が並ぶ。商店街。
D南 家ばかり。主な居住区。
E東 畑がある。田舎っぽい。
こんな感じでどうでしょうか?かなりまとめたつもりです。そして、バハムートはこれらをすべて包み込めるほどの大きさがあるという設定です。