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青春は雲の上で  作者: たけゾー
6/12

僕の日常

この一週間は忙しかった。

いろいろテストがあったり、学力別で教科のクラスが分かれたりした。

身体能力のテストもあったのだが、部活に入りたての僕は他の運動部員に比べやっぱり劣っていた。

とにかく運動神経が悪い。



最近になってやっと、クラスで話せる人がでてきて入学当初の憂鬱な気持ちは、いくぶん和らいだ気がする。

一緒に昼食を食べるグループもできた。

これでぼっち飯は回避だ。

グループは文化系の男の集まりだった。部活に入っていない奴もいる。

サッカー部やバスケ部など、所謂かっこいい系の部活の奴らは、他のクラスの部活仲間と大きな塊をつくっていた。

神崎くんは別のクラスで他の仲間たちと一緒にいた。神崎くんは元気だからどこででも仲良くなれるのだろう。

幼馴染は他のクラスなので学校時間中はあまり話さない。さすがに恥ずかしいので一緒にご飯を食べることもない。


お昼休みの時間、僕のいるグループのみんなに山岳部に入っていると伝えると驚かれた。


「まじで?山岳部!キツそう。山っていったことないや」


そう言ったのはメガネをかけた、アニメが好きだという、ザ・オタクだった。自分でオタクとか言っていた。


「山岳部ねー。最初僕も怖かったけど、先輩たちそこまで怒ったりしないし。山に登ったら結構女の人もいて驚いたよ。景色は最高だし」


「へーでも雪崩とかって怖くね?」


「まあ、それはね」


やっぱみんなには山=危険って思われてるのか。


「あ、そういや山って言えばアニメあったなー!」


アニメオタクくんは何かを思い出すように唸った。


「う~ん…あっ思い出したヤマノ◯スメだ!あれ見たよ!」


「ヤマノ◯スメ?」


「知らない?女の子が仲良く山登るやつ」


「見たことないなーどんな感じ?」


今はやりの山ガールってやつか?


「かわいい女の子たちがとにかく色んな山に登るんだよ。たしか埼玉のどっかがモデルになってるはず。原作のマンガ売ってるよ!」


「よし、買おう」


即決だ。

見たくなってきた。

そんな女の子たちが山に登るところなんて考えたこともなかった。


いままで山が舞台の作品なんて見たことがない。

ドラマや映画も色々あるのは知っているが。


「今日、本屋に行ってみてみようかな。山岳部なのに何も読んでないや」


「そうだよ!山に行くんだったら読まなきゃ」


彼はそう力強く言った。


そういえば、部室にも本があったはず、忙しくてまだ読んでいない。


「お前らばっかが盛り上がっててつまんねーよ。分かる話しようぜ!」


「ごめんごめん」


他にいた奴がそう言って話題を変えた。

そんな楽しい時間は早く過ぎていった。



放課後、いつも通りのメニュー終え、部室に戻ってきた。

積み重なった本のなかには、山の雑誌から始まり、小説、マンガまである。山と関係のないものもあるのだが。


「そこにある本は自由に読んでいいよ」


先輩がそう言ってくれたのでその一つ、何巻も置いてある漢字一文字の題名のマンガを手に取った。

表紙は雪山だろうか、ロープを使って男の人が登っている。

ページをめくって読み始めた。


……………………。


読み進めていくとだんだん分かってきた。

どうやら山で救助を仕事にしている人たちのお話だった。


…北アルプス、その美しさに惹かれ毎年多くの登山客が訪れるが、事故も多い。


読み込んでしまっていつの間にか時間を忘れていた。

北アルプスってどんな所なのだろう。

他の部員はとっくに生物室へ戻っていった。

今日はこのへんで、と一巻を読みきって本の山に戻した。



生物室に戻ろうと、校舎に入りドアの前まで来たときだった。


ふと、中から知らない男の人の声がすることに気がついた。


誰だ?単調なゆっくりとした口調だ。


僕はその声に耳をすませた。


〔……では、東の風、風力5、にわか雪、12ヘクトパスカル、氷点下1度……ハバロフスクでは北東の風、風力4、くもり、10ヘクトパスカル、5度……ルドナヤプリスタニでは……〕


な、何を言ってるんだ?

はばろふすく?るどなやぷりすたに?


僕は気になり、恐る恐るドアを開けた。

そこには部長が黙々と何かを書いているのが見えた。

声の主はラジオだった。


「すいません。ただいま戻りました。」


僕がそう言うと、


「しい~!静かに!」


他の先輩に怒られてしまった。


「あとで教えるから…」


と先輩に囁かれ、部長を見ると、

地図…だろうか、何か書いている。

数字を書いたり、記号を書いたり、塗りつぶしたり…。

部長は真剣にそれを書いている。


触れてはいけないような空気に怖くなり、失礼しましたとだけ静かに言い、自分の荷物を持って生物室を後にした。



帰り道、駅に隣接した本屋に立ち寄った。

そこで例の本を探していると、山はアウトドアのジャンルでかたまって置いてある場所を見つけた。

山雑誌、山写真集、さまざまな山のガイド、山の怖い話、山に登ってみましたシリーズ、日帰り登山、山道具の評価本…いっぱいある。


手に取って色々と見た。

山道具ってこんなに種類あるんだと驚いたり、山の写真を見てこんな綺麗な所があるんだ、と行ってみたくなったり。

写っている写真には、ここは地球ですかってレベルの写真まである。


いかんいかん、見入ってしまった。

マンガ探さないと。

それにしても山関係のマンガも結構あるんだな。

その中にお目当ての本があった。よし買って帰るか。他の本も気になるがお金がない。


家に帰ってゆっくり読むとしよう。


もう空は暗くなっていた。色々見てたからなぁ。


家に帰ると父も帰ってきていた。

父は僕に待ってろというと自分の書斎から本を持ってきた。


「お前、山岳部に入ったって言うから」


と小説を渡された。

なになに…ここうのひと?山の小説か。


読まなくちゃならない本が増えたな、と思いつつ、親に感謝した。


さて、ゆっくり読むとするか。


山の本は沢山あります。僕のおすすめのマンガは「山登り始めました」が一から登山を始める内容で分かりやすかったです。

登山の小説では「孤高の人」「神々の山嶺」などが面白かったです。

著者などは省略します。

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