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異世界傭兵の救国記  作者: 若宮える
第1章 リグレシア王国編
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初スキル、初アビリティ

 引っ越してきて二日目、俺は大きな寝室の、大きなベッドの上で目覚める。

 必要な家具などは事前に運び込まれており、今のところ不自由なところはない。それに、昨日のリリーが作ってくれた夕食はとても美味で、リリーの家事スキルが高いこともわかったし特に問題はないだろう。


 着替えを済ませ、リリーが作ってくれた朝食を摂り今日の予定を練る。


「さてと…今日は力を試してみたいし山に行ってみようかな…。リリー、これからちょっと山に行ってみようと思う。だから昼食の弁当を用意してくれる?」

「はい。わかりました。…ですが山には魔物も存在しているので…どうかお気をつけください」

「うん。そこらへんの注意は怠らないようにするよ」


 リリーが心配そうな表情を見せる。

 リリーは知らないが、俺のレベルはカンストしているから心配はないはずだ。どれくらいの強さかはわからないけど…。


 少々時間が経ち、昼になる前に準備を整えリリーが作ってくれた弁当を受け取って城を後にし、裏にそびえる山に向かった。


 そうして山の手前まで来た俺だったが、

 

「さて、どこから入ったものか…」


当然舗装された道などなく、傾斜は緩やかであるが木々が鬱蒼と生い茂る中どこを通っていけばいいのか悩んでいた。


「…あれを使うか」


 俺は二度目のメニューコマンドを開いた。

 三つある項目の中から【スキル&アビリティ】を開く。


「…そういえばこれどうやって使うんだ?タッチするわけではないみたいだし…」


 タッチしようと思って指を運んでも空を切るだけで反応はない。

 もしかしてメニューコマンドを開いた時みたいにコールすればいいのか…?

 少し考えた後にそれしか方法はないと思い実践してみることにする。俺が今使いたいスキルの名を声に…


「『身体強化』」


 俺が一言そう声に出すと、自分の体の中で何かが変化したような気がした。どことなく力がみなぎるような感覚だ。

 とりあえず走ってみるか…

 そう思って脚に力を入れ地を蹴った瞬間、10mほど先にあったはずの大木が一瞬で目前に迫る。


「っ!?」


 俺は何が起こっているか理解できなかったがこのままではまずいという危機を本能が察し、両手で身体をかばった。

 案の定、10mの距離を一瞬で詰めたスピードは止まることなくそのまま俺は大木にぶつかったのだが…


「……え?」


 目を瞑って怪我することを覚悟していたのだが、何かにぶつかった程度の感触で痛みは感じなかった。

 恐る恐る目を開くとそこにはちょうどぶつかった位置から折れて倒れている大木があった。


「マジかよ…」


 俺はこの力の凄まじさを実感した。

 TMO内では一般的なスキルである『身体強化』でさえここまでの力を発揮するんだ。他の上位スキルならどうなるか…

 そう考えただけで恐ろしい。


「とりあえず力の制御ができないとダメだ。まずは練習するか」


 どんなに強大な力でも持ち主が使いこなせなければ意味がない。

 

「…とりあえず広いところまで走って行ってみるか」


 そう考え無謀ではあるが山を全速力で駆け上がって行く。

 物凄い速さで木々を通り抜け、時折ぶつかったりするけどそれでも尚止まらず、俺は山の中腹辺りまで駆け抜けた。


「それにしてもこれだけ全力疾走したのに疲れも感じないな」


 全力疾走で約5分間も走ったのにもかかわらず汗一つかいていない。

 恐らくこれもステータスのおかげだろう。相変わらず恐ろしい力だ。


「ここら辺はちょうど良さそうだけど木が少し邪魔だな…」


 傾斜の少ない地面でかなりの広さもあり、練習場にするにはうってつけの場所だったが所々に生えている木が邪魔だった。


「…次はあれを使ってみるか」


 俺は思い立ってまたメニューコマンドを呼び寄せる。今度は【アイテム】の欄を呼び出す。

 だが、こちらもスキル同様肝心のアイテムの取り出し方がわからない。

 悩んでいるとポトッと背後に何かが落ちる音がして振り返るとそこには小さな箱があった。


「なんだこの箱…ん?説明が書いてある…」


 手にとって見てみるとそこの部分に説明書きがあり、


『この箱はマジックボックスです。持ち主の思い通りの大きさになります。収納量に限界はありません。取り出したい時はそのアイテムを強く念じて手を箱の中に入れてください』


こう書いてあった。


「なるほど、魔道具か」


 このアイテム自体はTMOには存在しないが恐らく持ち主の魔力で扱うことのできる魔道具だろう。

 おおよその仕組みを理解したところで、俺は一番取り出したいアイテムを強く念じててわやいれた。


「おぉ……」


 確かな手応えを感じ一気に引き抜くとそれは現れた。

 銀の鍔を付け美しい黒塗りの鞘に納められた一振りの刀。

 これは俺のお気に入りの武器の一つで最強の一角のモンスター、黒龍から手に入れた素材で作ったオリジナル武器だ。


「…とりあえず試してみよう」


 感動するのもほどほどにして、まずはその性能を試してみるとする。

 本物の刀を握るなんて初めてでどうすればいいかわからず、とりあえず不恰好ではあるが鞘から抜いて剣道の中段の構えを取る。

 狙いは正面に立つ一本の木。狙いを定め、刀を振りかぶって斜めに切る。


「…は?」


 振り下ろした刀は確かに木に当たった。しかしその感触は微々たるものでスッとすり抜けたようなものだった。

 だが驚いたのはこの先。なんと木が真っ二つになって切り落とされた。しかも切り株を見てみるとまるで鑢で磨かれたかのように表面は綺麗だった。


「嘘だろ…」


 慌てて刀の刃の方を見てみると刃こぼれなど一切なく美しい輝きを保っていた。


「…これも練習が必要だな」


 予想以上の威力を発揮した刀の威力に恐れ生唾を飲んだ。


「ここら辺一帯の木で練習してみるか」


 練習場作りを兼ねて木で試し狩りを続けることにする。環境破壊と言われるかもしれないが多少のことは大目に見て欲しい。


「せっかくだしアビリティと組み合わせてみるか」


 俺はTMOでよくこの刀に合わせて使っていたアビリティを思い出す。


「『薙ぎ払い』」


 一言そう呟くと身体が勝手に動き始めた。持っていた刀を横に、大きく背中まで振りかぶり、一瞬で振り抜く。

 斬撃が目に見える形で飛んで行き俺の周りの落ち葉はその威力で舞い上がる。飛んで行った斬撃は木々を薙ぎ倒し収束した。


「そういえばこれは魔力を消費する技だったな」


 もうどんなことが起きても俺は驚かない。冷静にそう分析する。

 恐らく目に見える斬撃はその魔力のおかげだろう。もっとも魔力もかなりの量を持っているから消費量なんて微々たるものなんだろうけど。


 こうして何度か技を試しているうちに辺りは開けた平地となった。


「よし!もっといろんな技を使ってみるか!」


 こうして俺の特訓が始まった。

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