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異世界傭兵の救国記  作者: 若宮える
第1章 リグレシア王国編
14/15

顔合わせ

 王城に来て二日目。

 今日の予定は兵士との顔合わせ、魔法の授業など色々忙しい。


「ジン殿、準備が出来たので至急来ていただきたい」


 いつも通り朝の支度を済ませると国王の使いと思われる騎士が呼びに来た。

 おそらく用件は兵士の件だろう。俺の事前の要求である魔法を使える兵士という条件を満たした者が用意されたはずだ。

 俺は急いで向かうことにする。


◇ ◇ ◇


「お待ちしておりました。この者達がジン様の要求に合った者達です」


 王から兵士の選別の名を受けた騎士が俺に紹介する。紹介された二十人程の騎士達は全員二十代〜三十代前半の比較的若い者たちだ。全員綺麗に整列している。


「……しかし火属性などの威力の高い魔法を使える者達でなくて良かったのですか?」

「いえ、良いんですこれで」


 そう、俺は事前に王に要求していた。その内容は”中級以上の水属性または土属性を使える者”という条件だ。よってこの人達はそれをクリアした魔導騎士という類になる。


「……それでは皆さん」


 俺は騎士達の方に改めて向き直り話を始める。


「俺はジン・キリュウ。今回の戦で貴方達の指揮を取る。傭兵なんかが騎士達の上に立つのは不服かもしれませんが……」


 共に頑張りましょう。そう最後の一言を言おうとした時だった。


「ジン様万歳!」

「やってやろうぜ‼︎」


 割れんばかりの歓声が広間に鳴り響く。

 ある者は自分自身を鼓舞するかのように、またある者はただただ己が喜びを天に向かって叫ぶように。


「ええ……と……これは?」

「恐らく皆戦いにおいては日の目を見ない者達ばかりだったので歓喜しているのかと」


 魔導騎士達の完成に圧倒され困惑している俺に先ほどの騎士が説明をしてくれる。

 どうやら水属性や土属性の魔法を使う魔導騎士達は前線では役に立たないとされ主だった戦には出されていないらしい。そのため今回の召集でやっと出番が来たことを喜んでいるようだ。


 理由もわかったところで俺は一つ咳払いをして話を再開する。


「皆さん、それでは本題にはいります」


 改まった口調で再度話しかけるとそれまで騒いでいた魔導騎士達は全員一瞬で静かになりこちらに集中した視線を向ける。


「既に説明があったかもしれませんが俺たちの部隊は国境にある谷から進行してくるサンクリードの兵を迎え撃ちます」


 今回はどういうわけかバルジア、サンクリードの両国が同時に攻めてくるわけではなく、サンクリードの一国のみということだった。

 おおかたリグレシアが小国であることから、侮って連合軍を組む前にサンクリードが先走ったというところだろう。

 おかげでサンクリードの兵が行軍してくるルートは絞られる。その中でもこの谷は重要な地点だ。それを含め王は俺に任せたのだろう。


「それでは当日の策について簡単に説明します。まずは……」


◇ ◇ ◇


「はあ疲れた……」


 魔導騎士達に当日の動きを全て教え一応のため訓練場で予行演習もしておいた。

 恐らくこのままで問題はないだろう。後は当日の敵の動きを待つのみだ。


 午前の予定を終え、アイラさんが待つ部屋の扉に手をかける。扉を開けるとそこにはアイラさんと、その隣には初めて見る白い髭の生えた優しそうな男性がいた。


「こんにちはアイラさん。もしかしてその方が……?」

「こんにちはジン様。ええ、こちらは宮廷魔導師のセオドアです」


 アイラさんは隣の男性を紹介してくれる。


「こんにちは。私はここの魔道士達の長を務めているセオドアと申します。この度はジン様にお会いできて嬉しく思います」


 にこにことした人の良さそうな笑みを浮かべながら俺に挨拶をしてくれる。

 騎士達の方は仕方ないと割り切っているが、ここまで年上の人に様付けで呼ばれるのはちょっと気が引ける……。


「あの……セオドアさん? セオドアさんの方が年上ですし様付けなんかしなくても……」

「何を仰いますか。かの伝説の御方を呼び捨てなど出来ませぬ」


 優しそうな方だけどそこだけは頑なに譲ってもらえなかった。というかやっぱりどこでも伝説扱いされているんだ……。


「わかりました……。それではよろしくお願いします、セオドア先生」

「ええ、こちらこそ。私がジン様に教えられることは限られているかとは思いますが」


 ……本当は初歩から教えてもらいたいんだけどね。


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