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異世界傭兵の救国記  作者: 若宮える
第1章 リグレシア王国編
10/15

午後の戦闘

 俺はとりあえず一通りの剣術スキルを試した。

 魔力を消費しない小規模の技から魔力消費の大きなレアスキルまでいろいろ使ってみたが難なく使えた。あとは制御できるかどうかの問題が残るが、それは練習してしていけば良いだろう。まだ時間はあるわけだし。

 しかし気になる点が一つある。


「これ、魔力を消費しているのか?」


 大技を乱発しても疲労感は感じない。

 そもそも魔力制御のやり方もわかっていないのだが。


「流石に魔力の限界はあったはずだけどなあ…」


 TMOでレベルがカンストしていても魔力は∞というわけではなく、膨大な量ではあるが限界はあった。しかし、現在の様子ではそれを一向に感じさせない。


「うーん…。やっぱり自分だけでは限界があるかな」


 いくら強大な技と武器を持っていたところでそれを制御できる力と知識がないと使い物にならない。


「二日後にはまた王城に行くことになってるし、アイラさんに聞いてみるか」


 俺は二日後に王城に行く予定になっている。

 あの時二ヶ国と交渉に行っていて会えなかったこの国の王、第一王女に挨拶、それと用意できたお金を受け取りに行く。

 その時に魔法や魔力の制御を教えてくれる人を紹介してもらえば良いだろう。


「そうと決まったらここら辺で休憩するか」


 スキルの練習に夢中で気がつかなかったが、とっくに昼を過ぎていて腹も空いている。

 リリーに朝作ってもらった弁当を食べることにしよう。

 俺はリリーから受け取っていたバスケットをマジックボックスから取り出す。開けてみると中身はサンドウィッチだった。種類は肉と野菜、卵、果物のジャムが塗ってあるものの三種類。


「美味しい…。昨日の夕食もそうだったけどやっぱりリリーは料理が上手だな…」


 今度リリーに料理教えてもらおうかな?

 そんなことを思いながら食べる。

 食べ進める手は止まらず、十分もしないうちにバスケットの中は空になってしまった。


「ふぅ…食後は魔法の練習をしようかと思ったけど…今のままじゃ無理だな」


 立ち上がって背伸びをする。

 当初の予定としては午後は魔法を使えるか試してみたかったのだが剣術のアビリティだけであの様だったら恐ろしくて使えない。炎系統の魔法なんか使ったら山火事を起こしてしまうことが目に見えている。

 使いたい気持ちは山々だがもう少し辛抱することにした。


「そうすると後やることは残ってないなあ…」


 まだ帰るには時間は早いし何をしたものか?

 そんなことを考えていた時、


「遠くで何か聞こえた…?」


山の奥の方から何やら木々が倒れるような音が聞こえ足を止める。

 

「『聴覚強化』」


 ここで持っていたスキルの一つを思い出し使ってみる。これを使えば一定時間聴覚を通常のおよそ五倍高められる。

 スキルを発動させ耳を澄ましてみると、巨大な何かが木々を薙ぎ倒しこちらへまっすぐやってくるのがわかった。

 ここら辺で暴れ過ぎたか?

 もしかしたらここでスキルを試していた時の音につられてモンスターがやってきたのかもしれない。


「まあ、ちょうどいいか」


 例の戦を行う前に実戦経験も必要だ。

 今はまだまともな戦闘をできるかは不明だがやってみた方がいいだろう。最悪の場合でも死ぬ可能性はないだろうし。


 そう覚悟を決め待ち構える。

 ズシリとした重量感のある足音が近づいてくる。相当大きいようだ。


 グルル…

 遂に俺が開拓した場所まで進行し姿を現したのは赤毛の、体長4mはあるであろう巨躯を誇るクマだった。ぎらりと光る目からは凶暴さが伺える。


「確か…レッドベアだったか?」


 TMO内では序盤の中ボス的なモンスターでレベルが上がった後では難なく倒せる雑魚にすぎない。

 だがこちらの世界ではその常識が通用するかどうか。俺は一切気を抜かず視線をレッドベアの方へ向け集中する。

 向こうもどうやら俺を捉えたらしく、一歩、また一歩と大股で足音を響かせながら近づいてくる。


 まだだ…もう少し…。


 俺は刀を鞘にしまった状態で居合の構えをとる。もっとも居合なんてやったことはないがアビリティを駆使して最も早く攻撃できるのはこの構えだろうと考え型をとる。


 グルアァ!!

 ゆっくりと歩みを進めていたレッドベアだったが動かない俺にしびれを切らしたのか一気に地面を蹴って間合いを詰めてきた。


 …今だ!


「『居合斬り』!」


 俺はギリギリ届く間合いにレッドベアが踏み込んだと同時に抜刀する。振り抜いた刀は先ほどと同じように見える斬撃となってレッドベアに直撃した。

 斬撃がレッドベアに当たった瞬間にレッドベアは血を吹き出し、体勢を崩したかと思えばそのまま前方に轟音を立てて倒れた。

 どうやら一撃で絶命したらしい。


「…ふぅ」


 初戦闘ということもあってかなりの緊張感だった。額からは汗が流れ出る。

 それにしても『居合斬り』は刀のアビリティの中でも初期の方で大した威力はないはずだが予想以上の力を発揮してくれた。


「もしかして持ち主のレベルに合わせて強化されるのか?」


 未だに謎が多い自分の力。

 早く解明して使いこなせるようにならなければ…


「まあ、今日のところは帰るか。リリーも心配しているだろうし」


 まだ明るいが今日やるべきことは一通りやったしこれ以上残っていてもまたモンスターに襲われるだけだ。

 俺は練習場を後にし、城に帰ることにした。

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