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《 ある少女の話 》
《 No.01 ある少女の話 》
「○○待ちなさい!」
「お願い!待って○○!」
私の名前を、
泣きながら叫んでいる。
「お父さん。」
風が強く吹き付ける。
「お母さん。」
足が少し竦んだ。
「今まで、ありがとう。」
【涙】が溢れた。
精一杯の【最後】の笑顔。
世界が逆さまになる。
意識が遠のいていく。
…さようなら。
私はこの日、死にました。
小さな国の。小さな町で。
一人の少女が死にました。
11月10日の月が綺麗な夜でした。
その夜は誰かにとっては
忘れられない夜となり。
誰かにとっては
いつもとなんら変わらぬ夜でした。