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菜些架おわりの短編部屋

私とは私とは私とは私とは私とは私とは私とは私とは私とは私とは

成りたいものなど特に無い。

したいことも別に無い。

逃げ出したい危機も無い。

空っぽな日々でただ消費されるだけの時間。

まるで止め忘れた水道。ダダ漏れ。

幸でも無ければ不幸でも無い。それすら存在しない空虚な日々。

だけど、幸不幸を感じることの出来ない日常は、それだけで不幸なんじゃ無いのか?

そんなこと言ったら、本当に不幸な人にタコ殴りにされる。

ああ、なんて惨めなんだ。

そんなこと言ったら、本当に惨めな人にタコ殴りにされる。

じゃあどうしようも無いな。

そんなこと言ったら、本当にどうしようも無い人にタコ殴りにされる。

とりたてて何も無い人間は、何かをしただけで「本物」にタコ殴りにされる。

中身の伴わない空っぽだから、鼻につく。

だけど、私は私が幸せだとは思わない。

圧し掛かるようなまどろみの中、鈍い五感でおぼつかない足取りで機械油入りの脳味噌で、傍から見てるだけでも胃もたれしそうな鈍くさい薄ら暗い日常を送ってる私。

そんなのが幸せとは、とても思えない。

私も不平を叫びたいのだ。

怨んでやりたいのだ。


だけど私にはそれが出来ない。

ネタが無いのだ。

怨むものも無い。叫ぶ論法も無い。

それらは全て「本物」が独占してる。

私たちはまるで奴隷。

言葉も、敵も、何もかもを取り上げられて。

「平凡」という名の鎖に縛られ、死なない程度に痛めつけられる、そんな奴隷。

そんなことを言ったら、本物の奴隷にタコ殴りにされる。それが私たち。

やること為すこと「不謹慎」でしかない。

中身の伴わない偽物に、叫ぶ資格は無いのだと。

言わんばかりに本物は、今日も不幸を叫び続ける。

私は確かに辛いのです。

今にも窒息しそうな程に。

だけど空気を吸わせてくれない。

口を誰かに塞がれてる。

鼻も誰かに抓まれてる。

頭が沸騰してしまう。

肺が爆発してしまう。

許さない。

許さない。

許さない。

何が許せないかは解らない。

だけど、私は決して許さない。

だから私は叫ぶ。

言葉に出来ないのなら、せめて叫んでやる。

声にしてやる。

そこに籠る怨嗟は、呪詛は、悲しさは、やるせなさは、きっと誰かに届くはずだから。

核心に触れた声は、それだけで、きっと何かを伝えられる。

じゃあ、言うよ。

言葉は、分かってるよね?















ちくわ大明神。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「本物」にタコ殴りにされる。 という一文にとても共感を得ました。 と言ってしまうと僕はあなたにタコ殴りにされてしまいますか 僕にも似たものはありますが、少なくとも何もないという訳ではない…
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