序ノ章ノ『三』
僕の家は、世間でいう「お金持ち」の家だったのかも知れない。
でも、そんなに家には14の時、愛想を尽かして出て行った。
行く宛てもなく街を歩いていた時出会ったのが『望』だった。
『わわっ! どいてどいて~!!!』
「は?」
細い路地裏を歩いていた僕の頭上には少女らしきものが降って来ていた。
いや、少女だった。
ドン!!!!!
『・・・う・・いったぁ・・・どいてって言ったのに・・・。』
「・・・・・ってーな。いきなり言われてよけれる訳ないだろう。てゆーかお前だれ?」
『あたし?・・え?あたしの事知らないの?』
「当たり前だろ。今初めて見たんだから。」
『じゃあ、教えてあげる。あたしは怪盗よ。怪盗エリス。最近巷を騒がしているんだけど。』
怪盗?だから仮面をつけているのか。
「・・・・・ふーん。怪盗なんだ。まあ、どうでもいいや。」
『聴いといてそれひどくない!?』
「で?なんで上から落ちて来た訳?」
『足を滑らせて落ちちゃった。あは。』
「はあ。もういい。僕はもう寝る所を探さなくちゃいけないんだ。」
『寝る所?家おいでよ。あたし悪いこともしちゃったし。』
「・・・・それ本気で言ってんの?」
『うん、本気だよ?』
「本当にいいのか?」
『いいよ。ただし条件つきだけど。』
「条件?何だ?」
『あなた[能力者]でしょ?電気系統の。』
「・・・なんで知ってるんだ?」
『さっき落ちて当たった時電気きたから。』
「で?だったら何だ。」
『お願い!!あたしの仲間になって欲しいの!!』
「はあ?僕に怪盗になれって言うのか?」
『うん。最近セキュリティにになってきたからさ、侵入しにくいの。だから超度電気系統の人欲しかったの!ほんとにお願い!!』
怪盗か・・・。それも悪くないかも・・・。
「しょうがない。やってやるよ。怪盗。だから泊めてくれるだろうな?」
『本当に!?本当に!?やったぁ!!ありがとう!!いいよいいよ、何日でもって言うかもう暮らしていいよ!』
こうして僕と『望』との生活が始まった。
『望』とは怪盗エリスの本名である。怪盗という事を除けばどこにでもいる普通の少女だった。
そして、以外にも能力のせいか僕には怪盗が向いていたようだ。思っていたより楽しかった。
怪盗をやることも、彼女との生活も。気づけば、僕には望が愛しい存在となっていた。
この生活がずっと続けばいいと思ってた。でも、この生活は2年ほどで終わった。
ある屋敷に侵入した夜だった。僕と望は別行動だった。その時だった。警備員の高らかな声が屋敷中に響いた。
「怪盗エリスを捕まえたぞ!!!」
僕は入った部屋からでてすぐ下を見ると縄で縛られた望がいた。その時彼女の口が動いた。
ばれない様にするためか、口パクだったが何を言っているかすぐわかった。
『に げ て』
彼女は間違いなくそう言っていた。ここで、僕まで捕まってしまえば全てが終わりだ。
僕は彼女の思いを受け取って口パクで返した。
「必ず助けに行くから」
彼女は深くうなずいた。僕は一人屋敷を出て逃げた。彼女を必ず助けると心に誓って。
後から聴いた話だと、彼女は政府の地下牢に囚われているらしい。どうやって政府に乗り込もうか。
そう考えていたときだった。僕の元に「セブンス計画」がやってきた。
これ以上のチャンスはない。そう思い僕は一人政府へと向かった。