―chapter5 ここはだれ? わたしはどこ?―3/3
いろいろと急なこの状況に、頭が追い付かないでいた。
僕は今、どうなってんの。どうして串枝さんや久瀬さんも集まった五人の前に立たされているの。
「――ということで、これから私達の仲間に入ることになった山田アクジ君だ。これからよろしく頼む」
「わーい、アクジさんが一緒なら心強いです」
「…………」
リーダーと串枝さんが歓迎ムードで拍手を送り、斉木さんも無言だけど拍手を送っている。粟智さんも苦笑しながらも拍手している。
なんで僕は拍手を受けている?? でもどうして、訳がわからない。
いったい、どうしてこうなった!? だれか説明をヘルプミー。
「ボクは反対だ! 相手もよく知らないのに、いきなり仲間に加えるなんてどうかしている」
ひとり僕が呆けている中、串枝さんがリーダーさんに反対していた。
状況はまだ把握できてないけど、本能が誘いを受け取るなと訴えている。ガンバレ久瀬さん。この歓迎ムードの中、俺の見方は君だけだ。
「しかし彼の身元なら、知人の串枝さんが保障しているよ?」
「アクジさんなら大丈夫だよ」
「捺香、あなたは人が善過ぎる。だいたい捺香は……」
そういって、串枝さんの説得を試みる久瀬さんだったが、久瀬さんに串枝さんが上目使いで視線を投げかけた。
「駄目……なの?」
「えーと、それはー……」
ガンバレ。顔を赤らめないで、諦めないで。
「本当に駄目?」
「だから、私が言いたいのは……」
まずい。折れかけている。このままじゃ……。
「……どうしても?」
久瀬さんに、串枝さんの潤んだ瞳に破壊力がクリーンヒット。
モロに喰らってしまった久瀬さんは……。
「――――――分かった。認めるよ」
折れてしまったー! こいつは完全に落ちたメスの瞳をしているぜ。
久瀬さんは、顔を赤らめている場合じゃない。このチョロい奴め。
人を当てにするのは止めだ。
「待ってください。僕はまだそんな話を受けるとは……」
残った砦が陥落してしまい、自分を守るのは己が身ただ一つだけ。
僕は最後の抵抗を試みる。
「あくじさん……」
串枝さんの、久瀬さんを襲ったものと同じ破壊力が僕を襲う。これが久瀬さんの味わった力なのか!?
なんてことだ、あんな純朴な黒く澄んだ瞳で訴えられたら降参するしかないじゃないか。
しかし、こちらとて意地がある。
女の子一人の頼みを断われないことなど……、ことなど……。
「……お願い」
「どうぞ、受けましょう!」
久瀬さんを差して人の事を言っている場合じゃなかった。
不思議な魔力が込められているとしか思えないほど、あっさりと僕も頼みを断れなかった。
リーダーが告げる。
「君は一般の協力者という形で、組織に加わってもらおうと思っている。持てる権限こそ弱いものの、これがあるのとないのとで協力できる範囲が変わってくると思う。今度こそよろしくな」
この場の反対する人物が潰えた今、今度こそ満場一致の拍手に迎えら正義の一員に加えれてしまった。これからどうなるのだろう?
上手く分割できなくって、最後がちょんぼりしてしまいすみません。
これにて第四話の前半を終了します。
私自身、速筆な方ではないので、後半は気長にお待ちください。




