―chapter2.5 不満分子―
「大総統、なぜアトスの憎き敵であるイエローを、あんな戦闘員の下っ端ごときに預けたのですか!」
「落ち着け、ニョルズ。お前には関係のない仕事だ。お前は、自分の役目をちゃんと果たせ」
「関係ないとはなんですか。相手は我々を長年苦しめているアーマズ。だったら、イエローの監視は大幹部であるこの私めにこそ回すべきです」
「だから、シニードリンをつけているんじゃないか」
「なりません! あいつは、色恋に現を抜かしているボケ女ですよ。そんなのに任せたりなんかしていたら、せっかく捕えたイエローを、まんまと逃す事態にきっとするに違いありません」
「お前は、私の采配が信用ならないと?」
「私以外の人間もきっと同じことを思っています! ――どうしてですか?」
「なにが」
「どうして、あの凡骨戦闘員をそんなに評価しているのです。もともと書類作業ばっかりだった奴で、戦闘なんて前回が初出撃だったじゃないですか。しかもその出撃だって、早々にあの戦闘員はリタイアして、シニードリンが一人でアーマーズ全員を相手に健闘していたと報告書にはありますよ」
「余計な詮索などいらん」
「とにかく、私は納得いきませんからね。私の言い分はここまでです」
「こら、待て! お前はどうしようと……行ってしまったか。これは困ったことになった。しかしここはあえて、彼に試練を与えるチャンスとみるべきなのかも知れない。上手くやっておくれよアクジ君。でもまあ一先ずは、また様子見だな」
明日は、夕方の頃に投稿予定です。




