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01:06:03 合流

とある女性視点


 ――ドンっ!


 「な、何の音?」

 「そんな、もう!?」


 一つの小部屋。

 そこで話し合っている最中に、大きな破裂する音が響き渡った。

 この音は知っている。何度も……聞いた音だ。


 「どうしたんだよ、ねぇちゃんそんな顔してさ?」

 「平子くん、なずな、少しここで待っていて」

 「ええっ!? どうしてですか碧さん!」

 「もしかしたら……いえ、いいから2人はここにいて。いい、あたしがこの部屋に入るときはノックを2回する。それ以外で誰かが入ってきたら、出来る限り逃げるようにして」

 「そ、そんなぁ~」

 「大丈夫、ちょっと確認したらすぐに帰ってくるから。平子くん、ちゃんと男の子としてなずなを守りなさいよ?」

 「ちぇ、わかったよ……」


 2人ともやっぱり文句を言ったけど、なんとか納得してくれてよかった。

 さぁ、早く行かないと。一応気を付けて行動することにしましょう。


 「確か音は、こっちからだったわよね」


 部屋を跨いでいたせいで音がはっきりとしていないけれど、地図を確認した限りは、近くに大広間があったわね。そこを行ってみよう。




 『忠邦さん、しっかりしてください!』

 『大丈夫……ぐらいだから平気だよ……』


 「この声は……こっちからかしら」


 走っていると、遠くから男性の声が反響してきた。

 一人は心配している声。もう一人は……内容としては負傷でもしたのかもしれない。

 そうなると、あの爆発音は戦闘禁止のルールを破った人間がペナルティを喰らったと考えられるわね。それにしても、どうしてこうお金に目の眩んだ人間はあんな行動を簡単にするのか理解できない。


 「いたっ」

 「誰だ!?」


 角を曲がると、そこには確かに人がいた。

 初老を迎えたあたりの男性と、その人を支えて歩く青年。それと、2人の後ろからついて来ている女の子も。初老の男性は、腕から血が滲んでいる。

 ……そうだ、それよりもあたしへの警戒を解かないと! 敵だと勘違いされて逃げられたりするのは困る。


 「安心して、あたしは芹宮せりみやみどり。さっき爆発音がしたからここまで来たの」

 「……そうか。なら、この奥には行かない方がいい」

 「どうして?」

 「さっき、人が死んだ……」

 「っ!?」


 やっぱり……あの爆発音は装置が爆発したということね。

 やられた。一人も、死なせるわけにはいかなかったのに!

 

 「そう……わかったわ。それでそちらの男性、怪我をしているようだけど、大丈夫ですか?」

 「ん? ああ。いやね、僕は大丈夫だよ。これぐらいなら、掠り傷だからね」

 「なに言ってるんですか、忠邦さん! すぐに止血しないと、こんなよくわからない所じゃ何が起こるかわからないんですよ!?」

 「そうです。その青年の言う通りです。この閉鎖された空間では、まともな道具を調達するのも困難です。小さな傷も、きちんとした処置を出来なければ命に関わる可能性だってあるんですから」

 「いやはや、僕の子供たちと同じ年齢の子たちに説教されてちゃ、大人としての威厳が無いな。でも、確かにその通りか。悪かった」

 

 そうだ。悪いけれど、死んでしまったからにはどうしようもない。なら、今生きている人たちをなんとしてでもここから生かして返すことをしないと。

 それにこの人たちは見たところ大丈夫なようだし、部屋まで連れて行っても平気ね。


 「とりあえず、少し歩くと部屋があります。そこに行けば、治療道具もそろっているので、そこで処置を施しましょう」

 「わかった。忠邦君、三条さん。彼女の言うとおりにしよう」

 「わかりました」

 「はい……」

 「ああ、僕は緒葉南忠邦というんだ。よろしく、芹宮さん」 

 「俺は萩原啓一」

 「三条撫子と申します」


 ふむ。緒葉南、萩原、三条ね。

 とりあえず、これでついて来てもらえるわね。

 あとは、彼らの協力を仰げるように説得もしないと。これ以上、奴らの思い通りになんてさせないためにも。



 部屋に戻ったら2回ノックする。それが、あたしであるという合図だ。


 「なずな、戻ったわよ」

 「あ、お帰りなさい碧さん! ……あの、そちらの方は?」

 「さっき出会ったの。こちらの緒葉南さん、怪我をしているから薬箱を持ってきてくれない?」 

 「は、はい! わかりました!」


 ふぅ。誰とも遭遇せずに戻れたのは良かったわね。人を増やすのは大事だけれど、あまり増やしすぎると説得にも時間がかかるし、どこに奴らの手下が紛れているかもわからない。慎重に行動しないと。


 「碧さん、持ってきました」

 「ありがと。緒葉南さん、こちらに」

 「すまないね」

 「いえ、こういったことは自分でやりにくいですから。一応傷口を洗うので、服を脱いでもらえますか?」

 「わかった」


 緒葉南さんが服を脱ぐと、血に染まった腕がより分かりやすくなる。

 この傷痕、ナイフのような鋭利なものというよりも、擦った感じね。この階から手に入れられるとしたら、ボウガンかしら。

 とりあえず、貴重だけど水で傷口を洗って消毒。あとは、包帯を巻く。


 「応急処置程度ではありますので、時間が経ったら包帯を変えるようにしましょう」

 「助かるよ」


 流れる力は弱くなっても、血で包帯に血が滲んできている。こまめに取り替えないと、傷にはよくないわね。それと汚れてしまった服はどうしようもない。我慢してもらいましょう。

 さて、あとは……ん?


 「ねぇ、なずな。あの少年はどこにいったの?」

 「あ、その、実は……どっかに行っちゃったんです」

 「……はぁ!?」



開示ルール

・1:『貴方の両手足、首には特殊な装置が仕掛けられている。これに負荷を与え、尚忠告を無視した場合、首に装着されている装置が爆発する』


・2:『制限時間は97時間。残り時間は端末の最初の画面に表示されている』


・3:『ルールは全部で12存在する。上記に加えて、端末ごとにランダムで3つ加えられている』


・4:『この装置にはそれぞれ制限時間が設けられており、右足:49:00:00、左手:37:00:00、右手:25:00:00、左足:13:00:00、首:01:00:00。までに装置を解除できなければ、両手足には神経性の毒による四肢の自由の拘束。首の装置は爆発する』


・5:『開始から2時間の戦闘を禁じる。もし正当防衛以外の戦闘を行った場合、首の装置を爆発させる』


・7:『このゲームで97時間生存した者は勝者となり、50億円を山分けする』


・8:『ジョーカーが存在する。これは1~13の数字全てに偽装が可能。偽装しているときはその番号のルールを確認することが出来る。ジョーカーは一度番号を変えると六時間の間番号を変更できない。なお、この端末によっての装置の解除は最初の持ち主の身に適応される』


・9:『端末にはそれぞれ、A、2、3、4、5、6、7、8、9、10、J、Q、K、の数字が画面に記載されている』


・11:『装置の解除には、解除条件の入力されているチップをインストールした後、条件を満たすことで解除できる』


・12:『この空間内において、己の良心が許す限りは何を行おうと構わない』



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