??:??:?? 終わることの無いゲーム
三人称視点
「今回のゲームは?」
「ぼちぼち、と言ったところですかね」
「そうか」
「ただ、斧寺さん――ベテランを一人失うのは、それなりに痛手とも言えましたね」
「所詮は捨て駒だ」
「そう、ですね」
数十に渡るモニタが表示されている中、コンソールを叩いていた榊という男と、金桐という男がいた。
モニタに表示されているのは多くの事だ。
彼等のいる施設を監視するためのカメラや、グラフに、他にも多くの情報が表示されている。
榊はそれを確認しながら、何か問題があれば指示を出していく。
そしてつい先ほど、一つの大がかりなゲームが終わったために、少々忙しなくなっていた。そんな中の金桐の登場だった。
金桐は榊の上司に当たる。榊が現場監督であるなら、金桐はこの場所の総責任者である。
今彼らが話していたのは、ゲームの結果に対する損得の話。
先ほどまで行われていたのは、参加者14名による理不尽なゲーム。通称『箱庭』だ。
限定された空間内においてプレイヤーそれぞれが行動し、時に助け合い、時に殺し合うという非倫理的もの。しかしこの場において倫理という言葉などない。ゲームに参加しているプレイヤーはその時点で人間としての権利をはく奪される。そして、ゲームに生き残り帰還したものだけが、また人間として社会へと復帰し、その時には多額の賞金を得ているというわけだった。
プレイヤーには倍率が存在している。オッズだ。
生き残る確率のある人間には賭けたところで利益の少ないもの、生き残る確率の低いものには、利益が多い。
例えば今回のゲームにおいて、男性たちは基本的に1.1~1.5までであり、女性たちは1.6~10.0と相場が出来ている。特に今回オッズの低かった者は『藤袴修治』という海外での活動を主とする傭兵だった。そしてオッズのもっとも高かったものは、未だ幼い『柏木錫奈』だった。果たしてそれは大きく結果を変え、傭兵である男は死に、幼子であった少女は生きた。
無論あの傭兵が死んださい、そのままの映像を見せればこちらが介入したことでよろしくないことが起こるのをわかっていた榊はとっさにダミー映像を流し、傭兵の男が庇った『峰垣なずな』という女性と近くにいた『緒葉南忠邦』を使い、二人が背後から傭兵を発砲して殺害、ともにいた『芹宮碧』と『三条撫子』はその光景を見て逃げ出したということにした。そうすることで、客からの不満を出来る限り少なくしていったのだ。
「利益はどうだ?」
金桐は画面に視線を向けたまま、榊へと問うていく。
「今回は高オッズの女性陣が三名生き残って、低オッズの男性陣は一名生存。ちなみに男性は今回のサブマスターですね。利益に関しては生き残っていた女性陣に賭けていたお客さまはいますがそこまでの金額には至っておりません。対して死亡したほとんどの男性……特にオッズの最も低かった『藤袴修治』に賭けていた者は多くいたので、秤にかければこちらが利益を得ていますね」
「君は今回のゲームをどう思った?」
「そうですね……」
金桐が聞きたいのは、今回のゲームに関しての反省点。特に、今後もこのゲームを行うにあたっての改善点は必要なのだ。出来る限り、こちらが手を出すという場面があってはいけないように。
そんなことを考えながら、榊は考えを整理していき、語る。
「まず最初に、今回のゲームに関していえば物足りなさが目立ちました。特に、銃撃戦における派手さ、人間間における心理的状況に切迫した場面が少なかったので、退屈であるお客様もやはり少なからずいたと思われます。
その改善点に関しては、前半で好戦的なプレイヤーが少なくなったことですね。特に男性陣の幾人かで序盤で死んでしまい、後半においては決まったプレイヤーしか目立った行動をしていませんでした。ゲーム終了時に三名でいたのが良い例かと。あの三人組は基本的に争うということもありませんでしたし、銃を用いた場面でもワンマンゲームのように一方的に終わってしまいましたから、あれでは微妙だと捉えられます。他にもゲームに関して女性陣が積極的に参加しているというものでもありませんでした。途中一名が動いてくれましたが、それもこちらが働きかけたことで動きましたから、きっかけをちゃんと作らなければだめでしたね。
広すぎたというのも原因でしょう。プレイヤー同士が簡単に遭遇することが無く、また遭遇した場合にも争いが発生しにくい場面が多々ありましたし。
他にも――」
「いや、それぐらいでいい」
「わかりました」
「反省点はあり過ぎるな。プレイヤーの選抜にももう少し考えないとダメか……」
「そうですね」
「わかった。上にはこちらから報告しておこう。後は任せた」
「了解しました」
榊の言葉を途中で遮り、金桐はある程度目処がつけられたのか、部屋から出ていった。
その際に榊は息を吐いたわけだが、それは金桐の耳に届かなかったようだ。
「さてさて、次はどういうゲームにしましょうかねぇ」
呟きながらコンソールの音がまた部屋内に反響仕出し、彼は情報をまとめていく。
それが彼の仕事であるのだから。
ゲームは終わらない。
一度終わったとしても次のプレイヤーを選び出し、場所を決め、ルールを決める。
そしてそこで行われる見世物で、彼等は利益を得ていくのだろう。
『箱庭』からは、逃げられない。
というわけで、ここで【Doubt or Believe】は終わりとなります。
反省したい場所は多くありますが、一応締めくくらせてもらいます。
ゲームは終わりません。まだまだ続きます。
それでも、今は一旦休憩になります。
次のゲームは既に構想が出来ているんですが、その前にいろいろと私は書いている他作品の方を進めたいので、完結ということにさせていただきます。いずれ皆様の目に新たなゲームが姿を現すことをお楽しみにしていてください。
短い期間、ありがとうございました。




