25:42:19 焦燥
再訪者視点
「はっ、はっ、はっ……はぁ」
一時間は探したはずなのに、見つからない。
「どこにいるの、なずな……!」
あたしは、目的の子の名を声に出す。だけど、自分の声が壁に反響するだけで、あの子の声は聞こえない。
不安が募っていく。
端末を確認しては、先刻の場所を中心として、逆側にいるであろう方向に向かっているはずなのに、いざ向かおうとすれば、扉が施錠されていたり、明らか様な罠で足止めされていた。
どれもこれも、まるであたしはあちらに行かせないかのように。
「なんなのよ、もう!」
いらいらする。
さっきからずっとそうだ。
あの時、あの子を守ってあげられなかったことが悔しい。
しかし、あの出来事は確実にヤツ等の介入してきたことだ。恐らく、あたし達が固まって動いていると、ゲームが面白くならないからだろう。
どうして、気付けなかったのか。箱の中には、今まで以上にチップがあって、さらにはほぼ全員に回せるだけの種類と数があった。これまでは全然見つからなかった代物なのに、まるで手に入れろと言わんばかりそれはある。
そして、条件も同様だ。
「出来るわけないじゃない……」
あの後、端末にインストールされた解除条件を確認した。
――『もっとも行動を共にしたプレイヤーの、最終日での殺害』
それが、あたしに仕掛けられている首輪の解除条件だった。
もっとも行動を共にしたプレイヤー。そんなの、なずなしかいない。
つまりヤツ等は、最終日まであたしがなずなを殺すことをためらいながらも、最後に殺すのかどうかを楽しむというわけだ。実に、悪趣味。
ただよかったと思えるのは、あの子の全部の解除条件はそこまで難しいものじゃない。首輪も、一日同じ階層に滞在しなければいい話なんだから、階段さえ見つけてしまえば大丈夫よ。
「それよりも、まずはなずなを探さないと」
絶対にあの子は助けてみせる。
あの子を殺そうとするやつはあたしが殺す。
そしてあの子が誰かを殺すというなら、あたしが代わりに殺す。
あの子を汚させはしない。
「待っててね、なずな」
あたしが死ぬとしても、あの子は元の場所へと帰して見せるから。
だから無事でいて、なずな。




