01:49:25 遭遇
傭兵視点
※連投で合わせて三話あります。ただ絶対に見ないとならないというものでもないです。
さて、どうしたものか。
「迷ったか?」
周囲をコンクリート囲まれている中、この構造からしてビルか。それもかなり広い。
約2時間は歩いているはずだが、誰とも会わないとはな。
「……ふぅ」
立ち昇る紫煙を見ながら考える。
さて、俺の荷物はこのタバコとライター。そして護身用にあったナイフだけだが……
「ナイフの代わりに入っていたのがこれか」
ナイフは失せており、代わりにこの端末が入っていた。
ふむ。この形状からして通信機か? しかし、液晶が付いているところから映像を出力するタイプの物か。
「あまりこういったものに慣れていないのが失敗だったな」
機械類というのはいつダメになるかわからないからな。そういって使わなかったのがこうも仇になるとは。これから気を付けるとしよう。生きて帰れただが。
「場所や状況は違うが、ここは戦場だな」
見た目はいわゆる廃虚だ。所々埃も被っている。
だが、この血臭……密封された空間の成果、より濃く残っている。つまりそれだけ、多くの人間が死んだというところだろうな。
「ん?」
――……ツン
靴音? これは……女のものか。
どうする? 様子を見るとしよう。
「だ~れも~、いないな~」
「子供……」
息を潜め待ち伏せると、現れたのは少女。
ふむ。特に装備はしていない。動きからも一般の少女か。
とすると、なぜこのようなところにいるかだが……
「少しいいか?」
「っ!?」
安全なのは確認している。なら、話しかければいい。
しかし、少し警戒心を抱かせたか?
「お前は、どうしてここにいる?」
「………………」
ふむ。切り出し方が拙かったか?
子供への接触などほとんどないからな。少年兵くらいか、話していたとすれば。
どうしたものか……
「やっと……」
「ん?」
「やっと人と逢えたーー!」
「な、なんだ?」
目を潤ませたかと思えば、いきなり抱きつかれた。
どういうことだ?
いや、その前に密着状態というのは危ない。何をされるかわからない。
「落ち着け」
「ふえぇ~、どうしてー?」
「……泣くんじゃない」
対応に困るな。
しかし、俺以外にも人がいるのが確認できたのは僥倖か。運がよかったというのもあるな。
「わかった……。でも、萌香を一人にしないで」
「善処しよう」
「わーい!」
泣いたり笑ったり、か。まぁ子供というのはこういうものか。
「萌香はね、葛切萌香っていうの! お兄さんの名前は?」
「藤袴修治」
「よろしくね、修治お兄さん!」
「……ああ」
開示ルール
・1:『貴方の両手足、首には特殊な装置が仕掛けられている。これに負荷を与え、尚忠告を無視した場合、首に装着されている装置が爆発する』
・2:『制限時間は97時間。残り時間は端末の最初の画面に表示されている』
・3:『ルールは全部で12存在する。上記に加えて、端末ごとにランダムで3つ加えられている』
・4:『この装置にはそれぞれ制限時間が設けられており、右足:49:00:00、左手:37:00:00、右手:25:00:00、左足:13:00:00、首:01:00:00。までに装置を解除できなければ、両手足には神経性の毒による四肢の自由の拘束。首の装置は爆発する』
・5:『開始から2時間の戦闘を禁じる。もし正当防衛以外の戦闘を行った場合、首の装置を爆発させる』
・7:『このゲームで97時間生存した者は勝者となり、50億円を山分けする』
・8:『ジョーカーが存在する。これは1~13の数字全てに偽装が可能。偽装しているときはその番号のルールを確認することが出来る。ジョーカーは一度番号を変えると六時間の間番号を変更できない。なお、この端末によっての装置の解除は最初の持ち主の身に適応される』
・9:『端末にはそれぞれ、A、2、3、4、5、6、7、8、9、10、J、Q、K、の数字が画面に記載されている』
・11:『装置の解除には、解除条件の入力されているチップをインストールした後、条件を満たすことで解除できる』
・12:『この空間内において、己の良心が許す限りは何を行おうと構わない』




