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携帯と充電器

「あれ、またご主人様僕を忘れてるよ……」


はじめまして、僕はご主人様(持ち主)のスマートフォンです。機種はそこそこ古いかな。僕は今、充電器さんと繋がれたまま放置されてます。家の中に誰かがいる気配はない。


「あの人はいつも君を忘れるねぇ。困るのはあっちなのに」


そう話しかけてくれるのは充電器さん。因みに二代目だ。一代目の充電器さんは金具部分とカバー部分が外れ、破棄されてしまった。二代目の充電器さんは一代目よりも若干値段が高いそうだ。

僕はえぇ、と相槌を打った。ご主人様の御家族の携帯さんもよく忘れられ、暇をもてあそぶことも。僕のご主人様は比較的忘れない方だが、世間一般的には忘れやすい。


「はっはっは。お前達は外にでられるだけいいではないか。ワシはもう十年も外を見ていない」

「冷蔵庫さん…!」


この家の古株電気製品の一つ、冷蔵庫さん。彼の話は面白く、ご主人様の小さい頃とかよく聞かせてもらっている。


「でもよー、使われているだけよー良いじゃねーかよー」


間延びしたような話し方の彼は、ご主人様のゲーム機さん。流石若者向けと言うべきか、電気製品の中で一番若々しく、流行にのっている。


「貴様、目上に対しては敬語を使えと何度言ったら分かるんだ!!」

「あぁ…。そんなに熱くなられると、中の物が冷えませんよ」


そうだったな…、と何とか落ち着く冷蔵庫さん。この二人は仲が悪い。まぁ、厳格な冷蔵庫さんと自由奔放なゲーム機さんじゃ仕方ないかな。

と、玄関のドアが開いた。全員黙る。


「携帯忘れたーー!!!」


ご主人様だ。息を切らしながら僕と充電器さんを離し、僕をバックに入れて再び家を出る。


「……コンセントから抜いてくれないのか」


人間の皆さん!!どんなに急いでいても充電器さんをちゃんとコンセントから抜いて下さいね!!

そして、僕達を忘れないで下さい!!

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