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凍話2-汐留駅殺人事件-

充は、大学生の少女と別れて汐留駅に向かった。汐留駅に着くなり、何か異変を感じた充がプラットホームに行くと、そこには一人の老人が地面に(うずくま)った状態で既に息絶えていた…

青葉が[ゆりかもめ・汐留駅]に着くと、上のプラットホームから異変を感じた。 何かあったのかと思い、改札を抜け、階段を駆け上がると、ホームの中心部に人だかりが出来ていた。 何事かと、青葉はその人だかりへと近付いた。

その時、反対側のホームに停車中で発車しようとしていた新橋行きの列車の中に、不審な人物を青葉は目撃した。 が、発車してしまったので、その人物をよく確認出来なかった。




人だかりの中を掻き分けると、そこには老人と見られる人が大量の血を流しながら、うつ伏せで倒れていた。もう既に絶命していた。




10分も経たない内に、近くの警察署から刑事が数人現れ、現場検証が行われた。事情聴取される際、青葉は刑事に不審な人影を目撃した事を話した。 しかし、目撃した時の証言が曖昧だったので聞き入ってもらえなかった。

事情聴取後、家へ帰ろうと駅を出てタクシーを拾おうとした青葉は、後ろから声を掛けられた。


???:

「あのぅ、これ落ちてましたよ。」


振り向くと、さっき道でぶつかった女子大生、茅場零葉がいた。 彼女は、片手に何か持っていた。 青葉は、素早くポケットの中を確認した後、荒々しく彼女の手からそのモノを取った。


茅場:

「そんなに大切な品だったとは知りませんでした…。それはご家族の写真ですか?」


彼女から聞かれたが、青葉は冷たく答えた。


青葉:

「別に…、あなたには関係ありませんよね。」


吐き棄てるように言った。


茅場:

「…そうですよね、すみませんでした。」


と、彼女は囁くように言った。

そのモノをポケットにしまうと、青葉はタクシーを諦めて近くのバス停で都営バスの時刻表を見て、バスを待つ事にした。 だが、まだ彼女がついて来るのを見かねた彼は言った。


青葉:

「あの…、まだ何か。」

そう言うと彼女は、


茅場:

「いえ…、ただ私もこのバスなんです。」


と、答えた。


青葉の心の声:

「ちっ、こいつと一緒の方向かよ…。」


青葉は、小さく舌打ちをした。


バスが到着し、二人は乗り込んだ。 バスの電光掲示板には、先程起こった殺人事件の詳細が流れた…。

被害者は、墨田区在住の67才の男性。腹部に数箇所の刺傷と、首に切傷があり、発見時には、既に死亡していた。 警察は現場周辺を一部封鎖し、周囲にいた人間に事情聴取すると共に、早急に犯人を捜索するという。

掲示板を見ていた青葉に、隣にいた茅場が言った。


茅場:

「私、家に帰ろうと思って汐留駅へ歩いていたら、駅から出てくる人の様子が変だったので駅に入って行ったら、さっきの光景でした…。本当に、物騒な世の中ですよね…。」


青葉は、彼女の話を聴き流しながら、窓から見える臨海部の冬景色をぼんやりと眺めていた。

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