プロローグ1
今回はBLに挑戦してみました黒羽です。
〝BL〟とは言っても、性描写はほとんど省くつもりです。
まだその辺に不慣れな為にもとより書けません。
キス程度ですが、根本的にBLが苦手、または嫌いな方は閲覧をおやめください。
大月 麻央は、無事に高校入試をパスして、これといった用事もなくゴロゴロしながら過ごしていた。
今から1、2カ月前は勉強で大忙しだったのが懐かしくなるほど退屈だった。
「……………………」
これなら退屈のあまり死んでしまうかもしれない。
馬鹿な考えが暇で衰弱した脳みその中で構成される。
人間の頭というのはやはり、適当に使っておかなければ衰弱していくものなのだろう。
静かな部屋の中、麻央はベッドに寝転んでいた。
いつもならこんな時間にメールが一つ来る。
そのメールが来るのを待っている、というのも今の麻央の状態でもあるのだが。
そうして噂をすればで、じきにベッドの上のケータイがバイブ音を鳴らした。
マナーモード設定でバイブ音を鳴らす麻央のケータイは、『マナー』という単語に恐ろしく不似合いな耳障りな音を立てていた。
『霜塚 悠佳』
バイブ音が知らせたのは一件の受信メールだった。
差出人の名前にすっと目を向けて、ようやく麻央の顔に笑顔が広がった。
わくわくしながらケータイを開けば、青白い画面に文字が踊る。
<<今日も快晴だな>>
―――――――「…これだけ?」
麻央はぽつんと感想を口にした。
ずっと待っていたのに、ようやくきたメールがこれだけの文面だとは。
骨折り損のくたびれもうけとはまさにこのことを言うのだろう。
「…………」
メールに毒づく気にもなれずに、麻央はケータイのキーに指を伸ばした。
ぴっ、ぴっ、とキーを指で押し込めば、返信画面に少しずつ文字が表れる。
<<うん、快晴だね。>>
返信画面にそれだけの文字が浮かぶと、麻央は[送信]のキーを押し込んだ。
アドレスを交換してからずっとこうして文通ならぬメール通をしていた。
霜塚 悠佳というこのメール相手は、麻央よりはるかに年上だったが。
―――ブーッ、
二回目のバイブ音がまたもや受信メールの通知を知らせた。
悠佳にしては珍しく、返信がきた。
<<今日はどうする?>>
「……………………」
メールの内容に、麻央の顔がほころぶ。
最近は夜勤続きだと言ってなかなか会えなかった。
こう聞いてくるということは、恐らく明日は非番なのだろう。
でなければ、麻央に「どうする」などと聞いたりはしない。
<<待ってるよ。>>
メールを打ち返す麻央の指のスピードがあがる。
[送信]を押したあと、麻央はケータイをぱたんと閉じて、嬉しそうに微笑んで胸元にケータイを抱きしめた。