話はじめる。
「それで、何か覚えていることない? ショックで忘れたいかもしれないけど……。お願い。どんなに小さなことでもいいから」
三里先生が俺と憲吾を見つめながら言った。
「覚えてることは、全部ポリに話したんですけど」
憲吾は、まだ言うべきではないと意識しているようだ。俺も、まだ話をする気はない。もう少し、話をしてから。この先生が、信用のできる先生かどうか……確かめる!
「村井くんは? 何かない?」
「俺は、……すみません。憲吾が刺されたっている驚きで、まだ、思い出せません」
「そう……。覚えていないと思ったけど、ここまでとはね」
三里先生が少しガッカリしたような表情を見せた。
「あっ、あの、」
「何? 何か思い出したの?」
俺の発言に、嬉しそうな顔を見せた。
「いや、あの……。もし、犯人が捕まったら、どうするんですか?」
「う~んと。私たちは基本的に何もできないけど。警察の方が決めるんでしょうね、多分」
「そうですか」
そろそろだな。俺は自分の中に踏ん切りを付けた。
「憲吾、そろそろ」
「……! おぉ」
憲吾に合図を打つ。
「先生」
「はい?」
あとは、口が開くだけだ。
「実は、俺、犯人を見てるんです」
三里先生の顔が、変化した。
今回は少し短めとなりました。理由は、パソコンを買い換えたためです。買ったパソコンがなかなか反応してくれなくて……。次回は少し長めにしますので、許してください。2011年3月12日23時05分。