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職員用玄関

 『バンッ!!』漫画の世界ならば絶対にこうゆう効果音が付くであろう。私立津貫高等学校正門前。

『 第21条。本校利用についての規約。本校、私立津貫高等学校(以下、本校のみとする)は、日曜日などの祝日は、部活動および学業の活動を基本的に無しとする。尚、その間本校を利用しようとする教師、生徒がいた場合、教師は学校長への連絡をする。また、生徒は本校に教師、および管理人のどちらかが居ない限りは利用を禁止とし、利用できる場合にも教師および管理人に目的等を伝えることとする。日曜日および祝日の利用時間は、午前8時~午後5時までとする。』

生徒手帳の『生徒規約』を読み直し、俺と憲吾はまた正門を見つめた。

「開いてる、よな?」

憲吾が確認をする。

「あぁ」

俺も返答する。間違いなく、正門は開いてる。でも、何と無く入る気にはなれなかった。理由は分からない。多分、若さゆえの気の迷いだろう。

「でも、来いって言われたから、いいんだよな?」

俺が今度は質問をする。

「よし! 入ろう」

憲吾の言葉で、門をくぐった。この高校は、正門を直線で歩いていくと、教師と来賓の玄関がある。そこのアスファルトの壁に、黒いチャイムがついている。因みに、新しく身長したらしきそのチャイムは、カメラつきのものだ。

「はい」

機械を通して聴く先生の声というのは、何でこう妙に甲高いのだろうか? 声くらい、気にすることはないだろうに……。これも、大人にならないと分からないものなのだろうか?

「あっ、俺、1年4組の文沢憲吾って言います。1年の学年主任の先生はいる……いますか?」

最後の所まではしっかりとした敬語だったのに……。俺は少し憲吾に同情した。それと同時に、慣れないことは練習が必要だというのが分かった。

「文沢……憲吾くんね。分かりました。少し待っていてください」

遠くで、「三里さ~ん」と呼ぶのが分かった。そして、少し時間が過ぎてから、

「1年生の相談室に行ってください」

「了解しました」

憲吾の発言が終わったのと同じくして、プツンッ、とスイッチが切れるのが分かった。

「だってよ」

「分かってるって」

憲吾が俺の方向を見て言い切った。つーか、俺が今の会話聞こえていなかったら、耳が相当悪いということになるだろうが。

「どこから入るんだ?」

憲吾の、最もな意見が出た。俺たちがいつも使っている下駄箱はこの玄関とは反対方向にある。だから、俺は1つの判断をくだした。

「スリッパだろ」

「だな!!」

俺の意見を、憲吾はあっさりと聞いた。まぁ、反論する必要もないか。そーいや、こないだ読んだ本に、こうゆう行動のことを『省エネ』って書いてあったな。 俺はそんなことを考えながら、歩を進めた。

「失礼します」

『1年生相談室』と看板が下ろされた部屋についた時点で、俺が憲吾の前を歩いた。今度は、俺が先に入った方が良いな。これ以上、憲吾のイメージが崩れると困る。

「……」

「……プッ」

誰もいなかった。そして、今は憲吾への同情ではなく、殺意があった。

「笑うなよな……!」

「いやだって。誰もいないのに、失礼しますって……」

憲吾は目に涙を浮かべながら笑った。憲吾の今みたいな行動は、本気で笑っているときだ。

「あっ、お待たせ。……?」

後から入ってきた三里先生は、今の事態を理解できていなかった。

最近更新回数が減っています。すみません、以後気をつけます。


では、次回はなるべく早く更新しますので。

2011年3月11日23時43分。

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