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土曜日の言葉

 土曜日になって、俺は久しぶりの部活に行った。なんだか、緊張してしまう。それに加え、今回は俺だけが部活を休んだので、少し恐怖感もある。

「おはようございます!」

チーちゃんの助言で、少しだけ時間を遅らせて部活に向う。俺としては誰よりも早く部室に入って、やる気を見せたかったんだけど。

「よっ。久しぶり。どうだ? 体調は?」

「あ、大鉄先輩。大丈夫です。ご迷惑掛けまして……すみません」

「いいってことよ。ほら、病み上がりなんだから少し軽めで練習するぞ」

大鉄先輩は、心なしか、俺に気を使っているように感じた。まぁ、それもそうかな?

「ラケットケースは……っと」

俺はバックからラケットを取り出し、台についた。なんだか流れで台に向ったけど、本当は緊張している。部活復帰1日目にしていきなり大鉄先輩となんて……。ショック療法ですか?

「まずは、フォアだ」

大鉄先輩は冷たい口調で言った。あれ? なんで『冷たい口調』? それに、よくみるとほかの先輩たちも目が、なんて説明しよう? 簡単にいえば、『死んでる』。こないだの――先輩(仮)にあったとき――俺にそっくりな目だ。

「……」

「……」

いつもはラリーの最中でも話をしてきた大鉄先輩なのに、今日はしない。復帰したばかりだからってワケでもなさそうだ。

「先輩、何かあったんですか?」

俺は何となく聞いてみた。

「お前、まだ壊れていないか?」

「はい?」

大鉄先輩には失礼だけど、俺も疑問符で言葉を返した。

「壊れてって、何がですか?」

このときから、もうすでに『何が』なんて理解できていた。ただ、それを自分の口から発するのが怖くて、逃げた。

「セイシン」

精神。って言ったよな? 

「会ったんですか?」

俺も、主語はあえて言わなかった。主語を言って、壊れるなんて、分かりきっている。

「あぁ……」

大鉄先輩の目が、よどんだ。

「誰にですか?」

「部長」

先輩のいう部長とは、帝國大学部長のことを言うはずだ。先輩(仮)の話が正しければ、自分にそっくりな戦術の人に、会う。つまり、大鉄先輩のそっくりな人。つまり、部長。

「俺も、会いましたよ。……しかも、因縁のある人に」

「まさか、あそこまで壊れている人間なんてな……。渡邊、諒」

――はい? 今、なんて仰いました?――言葉にできない言葉の羅列が、ぐるぐる回る。

「……因みに、服部たちもあったらしい。服部は、3年の鈴木 友也(すずき ゆうや)。流は、逆井 龍司(さかさい りゅうじ)、3年。荒木は、青柳 陸(あおやなぎ りく)、2年。森崎は、岡本 正雄(おかもと まさお)、2年。うちと全く同じだ。……そうだ。まだ、村井のやつを聞いていなかったな。どうだ?」

そう言う大鉄先輩の顔からは、『言わないでくれ』という気持ちが熱く伝わった。でも、今は言うしかない。

「富樫拓さん。1年です」

「……そうか」

「マジかよ!?」

俺と大鉄先輩の会話に割って入ってきた荒木先輩。先輩はそうとうの汗を掻いている。思い出すだけどもキツイのだろう。しかも、荒木先輩は、何か、帝國大学との因縁がありそうだし。前に聞いたら、「そんなん、聞くもんじゃぁ、ない」って言われた。その時の荒木先輩は、少なくとも、いつもより目が潤んでいた。

「こりゃ、俺たちが真似されているのか、それとも、真似しているのか、だな」

今までの情報を基に、大鉄先輩がまとめた。

「自分と似ている戦術の人が多いって、俺の先輩(仮)は言ってましたけど」

「(仮)? なにだよ、それ?」

やっぱり、荒木先輩は気になったか。

「正直、まだ、先輩とは認められないんで、(仮)です。それくらいでもしていないと、俺は崩れます」

「そっか。で、『けど』?」

大鉄先輩は将来卓球選手がテレビの司会、もしくはニュースキャスターだな。まとめるのが上手い。

「はい。正直、自分があんな人間と似ているなんて、認めたくありません……!! 先輩(仮)は、負けなしです」

「……」

俺の言葉に、大鉄先輩は一瞬、顔をしかめた。だだ、すぐに声が聞けた。

「大丈夫! 俺も、涼さんなんて、卓球を始めたばっかりの『天才』には負けないし。そんな奴に負ける気はない。安心しろ。困ったときは、周りを見ればいい。必ず、誰かがいる。……だろ?」

……周りを見渡す。そこには、当たり前だけど、『大鉄 暁』『服部 勇介』『寿 流』『森崎 茂』『荒木 渉』がいた。でも、みんなの目はまだ、繋がっていない。

「繋げろ。今のお前には、その|力≪光≫があるだろ? 俺には、ない。やってくれ。頼む」

「先輩に頼まれちゃ、仕方がないです。……」

もう一度、先輩たちを見渡す。光がない。否、光が闇で覆われている。待っていてください。今、闇を闇夜の荒野から、光りある道を探します! 

 俺は、最近読んだ本の内容をめくった。これでも、国語の成績は良い。本は好きだ。最近読んだ本の題名は……『新生論~若人へのメッセージ~』違う。『道ゆく道』これも! 『君の生きる空』違うんだ。『繋がり~たった1つの物語~』これだ!! これの、中盤らへんの文で……『 『繋がり』というものを、私は知らない。けど、咲子に会って変わった。人生の中身が全部。繋がりを感じることができる。まだバラバラかもしれないけど――』ここだ!!

「まだ、俺たちはバラバラかも知れません。でも、きっと、信じる力を持てるはずです。近くにいるようで遠くにいる。遠くにいるようで近くにいる。そんな存在でいいんです。力はなくとも、自分の壁にぶつかったときに、きっと仲間がいる。そう信じるだけで、私は強くなれる。先輩方の力は尊敬です。先輩にそっくりな人がいれば、俺が戦います。逃げないで。そこに、私がいます」

文面の言葉を若干変えて、言葉にした。ハッキリと言えば、そこまで響くような言葉じゃない。けど、それが俺の持っている気持ちの全てだから。届かなくてもいい。闇を払うだけで、十分だ。

「……どうですか?」

自分の言葉で人を変える。その瞬間をいるとき、人は判決を待つ囚人のような感覚に陥る。俺は、理解した。

どうでしたでしょうか? ここ最近はスランプ気味のため、自分で納得のいくものが書けていません。だったら、投稿するなって話ですけど。今の(スランプ状態の)自分の自分の一部だと思うので、投稿させていただきました。

 さて、皆様からの感想、いつもありがとうございます。1つ1つ、丁寧に読ませていただいております。この場を借りて、感謝を伝えます。

『ありがとう』です! 今後も、『卓球&好きの物語』と春馬令の応援、よろしくお願いします。

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