表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/60

チーちゃんの注意は・・・

 ゲームセンター『ミッツ』店内。店の中ではクレーンゲームだのプリクラだのカードゲーム機だのカーゲームだの格ゲーだのの音で入り混じっていた。こないだチーちゃんと行ったゲーセンとはまた違う雰囲気が出ていた。

「なぁ! これやろうぜ」

憲吾が声をかける。

「何だよ、それ?」

基本的に中学校の規則で『遊戯場への出入り禁止』となっていたから、高校に入ってその威圧感に驚いた。しかも、財布やハンカチ、デジカメまでもが取れるというんだから驚きは増す。しかも、店では売っていない特殊な景品まである。今憲吾が指さしているのは俺にとっては特殊な景品の1つだった。

「ケータイホルダー」

そう。憲吾が欲しいのはキャラクターの絵が抱えている布と綿のケータイホルダーだ。俺は携帯くらい自分のポケットに入れれば良いと思うが、憲吾は違った。

「これをつけてれば女子の目が向く!」

何という不純な動機だろうか。俺は頭を抱えたくなった。それにしても……。女子というのは、憲吾がいうように、そんなに良いものなのだろうか? 俺の経験が少ないこともあるが、周りにいる女子が目立ちすぎる。チーちゃんに遠藤、それに奈津子。全員タイプは全然違うのに、凄い印象に残る。チーちゃんは卓球。遠藤は勉強。奈津子は、Sっ気。すごい……。

「とればいいじゃん」

俺は素っ気無く返した。どうせ、1回やってみればアームの強弱が分かる。さすがに、アームが弱いのにやるはずもないだろう。

「OK、OK。俺は絶対とる!」

そう言って憲吾は、財布から100円を取り出した。

「いっくぞ!」

100円玉が機械の中でバネに引っかかる音がしたと同時に、流れた音楽、光るボタン。

「……」

しばらくの沈黙。音楽の音が、ボタンを離すと変わる。それだけでも、憲吾の集中力は削れる。

「……おりゃっ」

2つ目のボタンを離すと、アームが下がった。アームが景品を掴むと同時に、離した。いや、正確に1回は握ったかのように見せた、だ。

「はぁ……」

ゲームセンターの景品はあんまり取れない。ちまちま金を掛けていく内に売値を超える。そんなこと、分かっているはずなのに、憲吾は止まらない。

「利信! この位置キープして! 俺、くずしておくから」

憲吾はそれだけ言い残して、両替機の前に立った。

「少し、動いたのか?」

動いたとしても数ミリ。しかも、俺の目では動いたことすら分からない程度なのか。憲吾のあの自信はどこから来るんだ? 結局、その景品には1000遣った。あっ、正確には1100円かな。

「あぁ、大損だよ……」

ゲームセンターの雰囲気で、いらないものまで取ってしまうのは、人間の性だろう。後々考えれば、そこまでいらない。今の憲吾の状態がそれだった。

「でも、女性の目はむくんだろ?」

俺は少し気にかけて、呟いた。

「まぁ、な? でも、良く考えれば、そこまで可愛い子がそこら辺にいるわけがない」

うんうん、明確は推測だな。人の価値観はそれぞれ違うけど、好みのタイプがそこら辺にいるなんて奴は、『変態』か『ストライクゾーンが広すぎる』のどちらかだろう。基本的に、人間なんてものはバランス良く作られる。

「利信は? 何か欲しいのないの?」

「いや、さっきから見てるけど、これといってはないな」

俺の正直な感想。俺はもともとあんまり欲がない。もちろん、卓球のときには欲はでる。でも、物を欲しがるとか、そういうのはないと自負している。

「そっか。じゃ、帰るか。俺も、今日は運がねぇみてぇだからさ」

「いつもだろ」

「うっせーての」

憲吾の発言に俺はつい口を開いた。やっぱりたまにはこういう息抜きも大切なんだな。俺はそう思った。そして、俺と憲吾は店を後にした。

 交差点。踏み切りを前にして、俺と憲吾は自転車を止めた。

「2人で帰ると、中学思いだすよな」

不意に、憲吾が話し掛けた。

「そうかもな……。高校入ったら、元樹いたし」

「久しぶりだな」

周りには誰もいない。空は少し暗く、憲吾の顔すら少し見づらい。

「つーかさ……グッ!」

ガシャン! 自転車が横に倒れた時の部品が地面に触れる音がした。

「おい、どうしたんだよ?」

その時俺は、自分でも驚くくらい冷静だった。でも、

「おい、憲吾!」

憲吾の自転車から地面を伝って生温かい液体が俺の足に触れた。――血だ――。一瞬でわかった。だが、頭は動かない。やっと動いた行動が、携帯を取り出すということだった。なんで憲吾がこうなったかなんて、考えていなかった。

「大丈夫か、憲吾! くそっ、どうなって――」

それ以上は続けられなかった。自分の腹部に違和感を感じて、そこに触れる。熱い。憲吾とは違って、まだ熱かった。

「くそ、やろう……」

俺は自分の中にあった違和感を抜かれた途端に、上を見てハッとした。 それは、一番思い出したくなかった単語だった。まさか、自分が巻き込まれるなんて、想像もしてない。『通り魔』。

「チーちゃんの、注意は、確かだったな……」

メを瞑った。だが、確かに顔を見た。それは、俺が思い出したくない顔でもあった。犯人を、俺は、見――。

さてさて、利信がどうなるのか。それは僕自身もまだ分かりません(おいおい)。でも、確かなことは行っておきます。この『卓球&好きの物語』は、確かに恋愛小説です! では、次回をお楽しみにぃ。次回は、もう1人、意外な人物が出る予定です。 2011年2月18日23時51分。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ