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御手紙

 『利信ちゃんへ♪  今日はどうも。俺は十分だったよ。あっ、ここでは『心の奥底で~』なんて使わないよ。面倒だもん。今、コレを書いてるのは、利信ちゃんが弱くて俺の前からきえちゃったから。面倒だよ。今時手紙なんてさ。 さて。本題に入ろうか。今日、俺が利信ちゃんの前にきたのは運命だ。って言いたいけど全然違うよ♪ これは帝國大学Sチーム全員がしていること。この連休中に、津貫高の皆さんに挨拶しろ、ってね♪ で、俺は利信ちゃんなわけ。 これで本題は終わり。こんどは、世間話でもしようか? 決定♪ 利信ちゃんは、なんで津貫高に入れたか知ってる? それは俺のおかげ。帝國大学Sチームの面子と、津貫高の面子はほとんど性格も戦術も一緒なの♪ 大鉄くんや服部くん、寿くんに森崎くんに荒木くんだって。みぃ~んな、帝國大学にいるんだよ♪ 全ては帝國大学のためにさ。俺は1年だけど、一応部長なわけ♪ 去年までは俺みたいのいなかったんだけど、俺が独特すぎるから。俺が入った。だから、俺と戦術や性格が似ている利信ちゃんが津貫高に入れたの♪ 感謝してよ? 強いから……なんて理由じゃないんだから♪ それだけは、確認しておいてね』

面倒と書かれている割りには、機械で打った文だった。

「嘘、だろ?」

俺はそういった。

「分からない。でも、そうなのかもしれない」

チーちゃんは、心当りがあるらしい。

「でも」

そこで言葉を止めた。

「こんなとこでも、ゆっくりしないと。もう、始まってるんだから」

「……うん」

いつだって俺を元気づけてくれる存在に、いつの間にかチーちゃんはなっていた。

「チーちゃん……」

「何?」

「1回だけ」

俺はチーちゃんを真似して1回区切った。

「俺、今はチーちゃんのこと好きだよ」

そういって、俺はキスをした。 リップクリームを塗っているチーちゃんの唇は、甘かった。

「……」

チーちゃんの顔が真っ赤だ。

「あっ、言っとくけど。今だけだからね。あと1分で終わり」

「はえ?! 嘘でしょ? 永遠でしょ~~」

チーちゃんが抱きつく。

「うわっ、止めろよ」

「いやぁ~! 愛してるって言うまでぇ~!」

こんなことがあっても、チーちゃんはチーちゃんだった。これが、俺とチーちゃんの、旅行の始まり……。

 でも正直、心では怯えていた。この、手紙に。

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