当たり前っ!
部室は、異様な空気に包まれている。
「ハハハッ!やっぱ、村井は最高だな」
大鉄先輩は俺の言葉に笑った。
「キミ、凄いこと言うわね」
城峰コーチは俺に向ってそんなことを言った。さすがの俺でも気がつく。俺は、絶対おかしなことを言った。
「帝國大学はレベルはそれこそ落ちてはいるけど……高校卓球人で勝てる確率は低いのよ」
帝國大学に勝つ? へぇ、俺はそんなこと言ったのか……。
「すみません。なんか、生意気言っちゃって」
俺はとりあえず謝った。素直に、自分の軽い発言を。
「なんで謝んの? 俺らは本気で帝國大学に勝つんだからなっ!」
大鉄先輩は笑顔でそう言った。なんか、先輩の笑顔みると、頑張ろうって気になるんだよな……。それくらいの気迫が、『部長』にはあるんだと思う。
「そぉそぉ! 俺達は勝つんだよ!! 偉大なる先輩方にさっ」
荒木先輩が大鉄先輩に続くように叫んだ。荒木先輩は誰にも引かない。そんな先輩が『偉大』と認めるんだ、帝國大学は、強い……! 大鉄先輩、荒木先輩の言葉に、俺達は頷いた。
「よしっ。そーと決まったら早速練習! あっ。私の歓迎会は今日の放課後でね♪」
ちゃっかり自分の歓迎会を決定している城峰コーチ。
「あの、コーチ。練習メニューとか決めないんですか?」
服部先輩が城峰コーチに尋ねた。確かに。普通、コーチが練習メニューを決めるんじゃないのか? 俺の中学にはコーチがいなかったから分かんないけど。
「あぁ。今日は貴方達の練習がどれくらい役に立ってるかを調べることと。個人的な体にあったメニューを新しく作り直す。まぁ、そんなところ。ささっ、続けて」
「はい」
服部先輩は納得しました。という顔で大鉄先輩と練習を再開した。
「おい、村井! 早く練習しようぜ」
「あ、はい」
森崎先輩の言葉で俺も台についた。
まぁ、後は普通に練習を続けた。城峰コーチが見ているからキチンと休みなしでやるとかじゃなくて、『いるからこそ自分を魅せる』らしい。多分先輩達は、自分の練習メニューに自信があるんだと思う。俺もちゃんと道筋をしっかりとしないとなぁ。
「ありがとうございました!」
練習が終わると、卓球部では台に向って挨拶をする。まず大鉄先輩が言ってそれに俺達が続くって感じ。
「「「「「ありがとうございました!!!!!」」」」」
そして、次は今日の練習相手に向って挨拶。
「またよろしくお願いします!」
「「「「「またよろしくお願いします!!!!!」」」」」
んで、最後に部室に向って。
「さようなら!」
「「「「「さようなら!!!!!」」」」」
といった感じで練習は終わる。俺達の姿を見て城峰コーチは小さく、
「うん。青春っていいなぁ。青いなぁ」
って呟いてた。
「じゃぁな。明日また会おう!」
大鉄先輩はいつもより早く荷物の整理をしていた。
「さようならぁ」
俺も大鉄先輩に続いて荷物を持って外に出ようとする。
「待ちなさい」
「うぐっ!」
俺は城峰コーチにエナメルを掴まれて部室に戻された。
「大鉄くんも、ねっ♪」
「……はい」
俺の姿を見て、こうはなりたくないな、と諦めたのか、大鉄先輩は渋々部室に戻った。
「さぁ~て! どこで歓迎会しようかなぁ?」
城峰コーチは1人だけ拍手をした。それと同時に、俺達はため息をついた。もぉ、練習疲れが残ってんのに……。