流で流れを変えてやるスッ。
アッ、サブタイトル、もろ駄洒落ですみません
う~ん。次で決まるか否か。そこで俺達のチームとしての流れが変わる。
「頑張ってください、寿先輩!」
「う~ん、と。負ける気しねぇッスけど。あっ、暁! 悪ぃッスけど、お前の出番ねぇッスわ」
「ははっ。そうなることを、祈るよ」
互いに冗談を言い合った先輩方。本当に、頑張って欲しい。これまで、俺の試合しか長引かなかったから。だからこそ、それでいい。試合が短いって事は、勝ってることだから。だから――!!
「村井! んな辛気臭い顔しないでって。俺ぁ、負ける気しねぇッスから」
そう言って、中国式ペン(グリップが短くなったもの)をくるくるって回す先輩。
「行って来ます」
寿先輩は笑顔で、台についた。
試合が始まった。サーブは相手方。レシーブが得意な寿先輩にとてみれば、最高のスタートかもしれない。
「|トリック・ザ・アーティスト(悪戯な芸術家)、聞いたことくらいあるだろ?」
「あっはい。確か、中学時代に、3年連続1位になった人ですよね?」
「それが、アイツだ」
そう言う大鉄先輩の瞳は、無邪気な少年を魅せた。 てか、3年連続って事は、大鉄先輩よりも強かったってことか?
「流は、俺より強かった」
「過去形ですか……。まっ、今となっては、先輩の方が強いので、皮肉に聞こえるかもしれませんけど」
思いっきり皮肉をこめて呟いた。
「まぁな。この世界じゃぁ、強くないとだめだ」
「それは、俺に対する皮肉ですか? 先輩がそんな人だとは思わなかったです」
「どうとってもご自由に。でもな、アイツのプレーみたら、んなこといえないぞ」
どうゆう意味かはわからなかったが、結局、先輩の発言に先を越された。
「アイツは人を翻弄する。だから、俺はハッキリ言うんだ。『大丈夫』って」
先輩……。ったく、俺も涙脆くなったな。
とにかく、寿先輩の勝負が、封を切った。