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だからいったんだ

 「先輩。負けませんよね?」

「う、ん」

自信を保とうとする森崎先輩。その横、一歩右後ろに歩いているのが服部先輩。……つーか、先輩なんですから堂々とすればいいのに。

「チーちゃん、買ってくれるよね?」

「誰に物言ってんのよ! 負けるわけがないじゃない。私が組んだペアだよ?」

チーちゃんはチーちゃんで、自信がありすぎる。 まだ、頬に塩の味がある。恥ずかしいだろ、これ。

「それにしても、ほとんど強引すぎますよ、城峰コーチ。あいつ等、ダブルスには不恰好ですよ?」

「だから、大丈夫だって! いいからみてなさいって」

俺は、チーちゃんの言葉を聞きながら、昨日の出来事を思い出していた。 あっ、因みに、卓球は『1.シングル』『2.シングル』『3|(1).ダブルス』『4.シングル』『5.シングル』で構成されている。

 昨日。

「じゃぁ、明日の面子確認するわね」

遂に明日となった大会を前にして、俺達の緊張は高まっていた。その文、士気も上がったんだけど。この私立津貫高等学校男子卓球部の一番の問題が、ダブルス。元々、シングルしかやってこなかったから、誰もダブルスを選択したがらなかった。去年までは、ダブルス専門の人がいたらしい。当時は大鉄先輩が一緒にやっていたって聞いた。でも、正直なところを言うと、大鉄先輩がダブルスをやっているところなんて想像しにくい。

「シングルス。大鉄くん、寿くん、荒木くん、トシ。ダブルス。服部くんと森崎くん。はい決定」

「はぁ!?」

そう言い出したのは森崎先輩だ。

「待ってくださいよ、城峰コーチ! 俺、今までシングルしかやってなかったんですよ? 服部先輩に迷惑かかりますって」

「はぁ~。今まで私はキミにダブルスの練習させてたでしょーが」

反論をする森崎先輩に対して、服部先輩は戸惑うばかり。元々、自分の意見をあんま言う人じゃなかったしな。

 つかチーちゃん、森崎先輩ってそんな練習してたっけ? 普通に、走って、反復横跳び、ラリーに試合だった気がする。

「心配しないの。負けることは考えなくていい。君達の試合なんだから、思い切ってさ」

笑いながらそう呟くチーちゃん。その姿を見て、誰も反論しなかった。

 んで今の状況。

「ファーストゲーム、ラブオール!!」

ったく、ここ(ベンチ)にかえってくると、嫌にハッキリと聞こえるんだよね、審判のかけ声が。 最初の1球目は服部先輩のサーブか。出ないといいな、先輩の逆人格が……。

「なぁ、茂。俺、負ける気しねぇから」

あ、ムリでした。 服部先輩は試合になると人格が変わる。しかも公式試合だけで。

「はいはい。分かってますよ、先輩」

「俺もサーブに名前付けるよ。そうだな、ユアーゴットイズデス(お前の神様は死神だ!)で、どうだ?」

「いいんじゃないんすか? 相手も返せてないし」

「そうだな。んじゃ、もう1球」

「全くもって、尊敬しますよ、今の先輩は」

「いつもはしてねぇのか? あ、次お前だぞ」

「いや、いつももしてますけどね。つーか俺が最初のサーブじゃなくて良かったです。俺、レシーブじゃないと敵わないんで。俺のレシーブも先輩見たいに名前付けていいですか?」

「そうゆーのは勝手につけるもんだ」

「そうっすか?! おい、先輩から許可貰ったんだから早く出せよ。あっ、先輩、今の発言、威嚇に入りませんよね? だって2対0から動かないから」

「ほら、来るぞ」

「分かってますよ。そうだなぁ、右横だから、これかな? A HELL ON EART(この世の地獄)」

「おい、お前の読みは完璧英語だぞ」

「いいんじゃないんですか? 区別しやすくて」

「俺には関係ないがな」

だからいったんだ。この2人の先輩が組むと、柄悪くなるんだ。それに、話ながら【勝つ】ってどんだけですか。

 ――ダブルス、全ゲーム11対0!!――

この話を見て 「」多くない? と思った方。そうしたんです。

ワザとやりました。なんか、ダブルスはメッチャ強いイメージがあったんで。

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