何で?
本当に申し訳ありません! 次の話でどうしても試したいことがありましたので、ここで切らせてもらいました。まぁ、何かというのはお楽しみです。
それから、更新も遅れてすみませんでした。スランプ(?)みたいな事がきまして。未熟な話ですが、どうぞ一読を。
球がラケットに触れる。だが、二度とレシーブが戻ってくることは無かった。
「カッケェ……!」
荒木先輩、ありがとです。業名をつけるとしたら、『クリーンボール』ってとこですか。
「……どうゆう回転を掛けた?」
「教えませんよ、だって」
そこで1つの呼吸。
「勝負ですから!」
高々と上げた右手。う~ん、決まってるぅ!
「まぁ、いい。雑魚は雑魚なりに、粋がってろ」
イラッ。ムカつく……。もう一回やってやるよ。
クリーンボール!! カッ。球を打つ。球が返ってこない。成功。この3拍子が揃えば、俺の勝利。 当然、球は戻ってこない。このセットも俺の勝ちだ。
「お疲れ」
短い言葉で俺を迎えるチーちゃん。まぁ、当然っちゃ当然だけどさ。もう少し笑顔で迎えてくれても……って考える。
「何かありますか?」
1分の短い時間の中で、アドバイスを貰う。これがどれほど重要か、俺には自覚があった。大鉄先輩の口が開く。
「村井、クリーンボールは使うな」
「え……?」
大鉄先輩の言葉に、俺は驚きを隠せない。だって、アレだけで2セット目は取れたんですよ? それを自分から使うのを止めるなんて。
「でも、正直、勝てる自信ありません。あれは、俺が中学時代から暖めていた業なんで」
「その気持ちは分かる。でもな、理由はお前自身分かってるはずだ。俺は楽しく卓球がした。そのためには、仲間を失いたくないんだよ」
何時になく、真面目は表情が、俺を困惑させたのは誰が見ても明らかだった。
「キツくなったら、やめます」
俺はそれだけ言い残して、台に戻った。『折角の、試合なのに……!!』その気持ちが俺を支配し始めていた。
「サードゲーム、ラブオール!」
その言葉が終わるか終わらないかの瀬戸際で、俺は球を上に飛ばした。行け! 俺は心の奥底からそう願った。戻ってくる。そんな感覚が体に纏わり付いていたからだ。
「くそっ」
小さく、声が漏れる。球が戻ってきた。慣れ。一番嫌っていた事態だ。
「ほら、お前の苦手な合戦だ」