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帝國大学

 ガラガラッ。ドアを開けると、大鉄先輩があの人と楽しそうに話をしていた。他の先輩も、練習を止めてその人の周りを囲んでいる。

「どうしたんッスか?」

「おっ、村井。この人は城峰 千鶴(しろみね ちづる)コーチだ。今日から部活のコーチをしてもらうことになった」

大鉄先輩が紹介した。俺は小さくお辞儀をする。 コーチか。確かにそういえば教師には見えないな。

「前はどこで教えてたの?」

荒木先輩が城峰コーチに聞いた。荒木先輩はどんな人にも怖気ず、タメ口で接する。どんだけ図太いんだこの人って思うこともあるけど、基本良い人だ。

「前は、帝國大学で教えていました」

!!! その名前を聞いた瞬間、先輩の空気が変わった。俺も変わったかも知れないが、自分では理解できない。

 帝國大学。現段階で卓球の日本1位の大学で、世界大会でも活躍している。大鉄先輩に服部先輩、寿先輩も帝國大学を目指している。

「へぇ。凄いッスね」

寿先輩が動揺を隠し切れないといった風に言った。

「いや、そうでもないよ。だって……私は貴方達に勝って欲しいんだからね」

「勝つ……?帝國大学にですか?」

服部先輩が遠慮しながら答えた。

「えぇ。できないの? 私はできると思うわ。この面子ならね」

そこで城峰コーチは一旦間を入れた。

「高校日本1位に輝いた大鉄くん。それに続くように2位は寿くん。服部くんは去年足の怪我が無ければ3位にはなったと思うし。荒木くんは中学1位。森崎くんはその荒木くんと同じ中学出身でそのキャプテンだった。そして――。そこに居る村井くんは去年の中学卓球1位。そして、Jr.日本代表に選ばれた。こんな面子で勝てるほど、帝國は強くない」

強くない? こないだまで自分が教えていたのに……。この人は何を考えてるんだ?

「どういうことですか? 城峰コーチ」

大鉄先輩も俺と同じ考えだったらしく、城峰コーチに聞いた。

「日本卓球のレベルは確実に落ちてきている。もちろん、強い人はプロになって活躍しているけど。それ以前の問題よ。下が弱すぎる! 大鉄くん、キミが中学1位になったとき、Aチーム以外の人はそれから練習した?」

「それは……」

大鉄先輩は黙ってしまった。そうだ。コレは俺も体験したこと。部内で誰かが強者になってしまえば、やる気がなくなってしまう。城峰コーチが言ってるのはそのことだろう。

「いい? 帝國大学のAチームと試合をするにはDチームから戦って勝たなくてはいけない。だから、私は貴方達に勝ってそんな余裕を無くしてほしいの」

「……」

そこにいた先輩、俺もだけど。皆黙ってしまった。そうだ。高校生が帝國大学と試合をするには、Dチームを倒し、C、B、Aとやる必要がある。しかも帝國大学には、Sチームという最強の選手がいるチームもあるほどだ。どんなに強い大鉄先輩や服部先輩、寿先輩、荒木先輩、森崎先輩、そして俺でも対抗できないだろう。

「どぉ? どうしてもムリなら校長先生にいって断るけど」

「……」

それでも誰も話さない。あの荒木先輩ですら何も言わない。実力が分かっているから。

「……じゃないッスか」

「え?」

俺は我慢しきれなくなっていってしまった。

「いいじゃないッスか!? 先輩達だって最強になりたいんじゃないんスか? だったら今の最強を倒せばいいだけでしょ」

俺は発言をしてから顔を真っ赤にしていたと思う。

「プッ」

城峰コーチは笑った。


この話は恋愛です!

もう少しまってくださいね。(笑)

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