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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

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第83話 最適の定義

 技術比較会議は、公開実演の翌日に開かれた。


 各国代表、中央技術者、軍関係者。


 円卓の中央に、二つの波形が表示される。


 一つは自国中央網。


 もう一つは帝国Ω網。


 収束速度、遅延、安定率。


 すべての項目で、Ω網が上回っていた。


「結果は明白です」


 帝国側技術者が淡々と言う。


「完全自動化により、判断遅延はゼロ」

「ばらつきも存在しません」


 カルディアが補足する。


「最適解は常に一つです」

「演算はそれを選び続ける」


 視線がエルドに向く。


「現場判断は、その最適を乱します」


 正論。


 誰もすぐには反論できない。


 エルドはゆっくり口を開く。


「最適は、何に対する最適ですか」


 カルディアは即答する。


「被害最小化です」


「短期的な」


「はい」


 迷いがない。


 エルドは画面を指す。


「収束は速い」

「被害も少ない」


「ええ」


「ですが、波形が揃いすぎています」


 数人が顔を上げる。


「均一は安定です」


 カルディアは言い切る。


「差は不安定要素」


「差は、分散です」


 エルドは視線を逸らさない。


「差があれば、揺らぎは局所に留まる」


 カルディアの目がわずかに細くなる。


「仮説ですね」


「現場観測です」


 一瞬、空気が張り詰める。


 セドリックが口を挟む。


「現時点で、帝国方式の方が成果を出している」


 現実。


 数字は嘘をつかない。


 ミレイアも静かに言う。


「我々のモデルは、まだ未完成」


 その言葉で、流れは決まる。


 カルディアは穏やかに言う。


「統合すればいいのです」


 その一言。


 重い。


「各国の演算網を接続し、

 最適解を共有する」


 国際中央網。


 その輪郭が、初めて明確になる。


「分散すれば、遅延はさらに減る」


「停止のリスクも低下する」


 理屈は美しい。


 隙がない。


 エルドは小さく息を吐く。


「規模が大きくなれば、

 揃う範囲も広がる」


 カルディアは首を傾げる。


「それが問題ですか」


「止まる時も、大きくなる」


 沈黙。


 だがそれは一瞬。


「止まりません」


 カルディアは再び断言する。


「演算は拡張できる」


「完全に近づく」


 同じ言葉。


 同じ確信。


 エルドはそれ以上言わない。


 言っても届かないと分かっている。


 会議は続く。


 結論は出ていない。


 だが流れは決まっている。


 夜。


 屋上で、ノアが言う。


「負けたな」


 エルドは苦笑する。


「はい」


「正しさで負けた」


 その言葉が重い。


「帝国は正しい」

「だから強い」


 ノアは空を見る。


「だがな」


 少し間を置く。


「正しさは、揃う」


 エルドは目を閉じる。


 揃えば、差は消える。


 差が消えれば、


(止まる)


 だが今は、


 誰もそれを信じていない。


 端末が震える。


『国際接続検討委員会設立』


 世界は、動き出している。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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