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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

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第82話 完全自動

 公開実演は、都市中央の観測区画で行われた。


 観客席には、各国の技術者、政治家、そして報道陣。


 空間中央に、薄く歪んだ境界域が発生する。


 微差。


 規模は小さい。


 だが、意図的に誘発されたものだ。


「これより、Ω網による完全自動補正を実演します」


 カルディアの声が響く。


 彼女は端末に触れない。


 操作はない。


 すべて自動。


 境界域がわずかに揺れる。


 次の瞬間。


 補正が入る。


 速い。


 中央網よりも明らかに速い。


 波形が整う。


 収束。


 時間にして、数秒。


 人の介入は一切なし。


 静寂。


 そして、拍手。


 大きな拍手。


「……すごい」


 誰かが呟く。


 エルドは黙って見ている。


 確かに、完璧だ。


 遅延はない。


 迷いもない。


 カルディアが続ける。


「我々は、判断を演算に委ねました」


 観客が頷く。


「人の判断は、ばらつきます」

「ばらつきは、揺らぎを拡大させる」


 正しい。


「だから排除した」


 断言。


 再び拍手。


 エルドは一歩前に出る。


「質問を」


 カルディアが視線を向ける。


「どうぞ」


「演算が遅れた場合は?」


 一瞬の静寂。


 だがカルディアは即答する。


「遅れません」


 迷いがない。


「設計上、停止も遅延も起こりません」


 観客がざわめく。


 絶対。


 その言葉の重さ。


 エルドは続ける。


「もし、想定外が起きたら」


「想定外は、想定不足です」


 切り返しも速い。


「演算は拡張できる」

「完全に近づける」


 理屈としては正しい。


 だが。


 エルドの中で、小さな違和感が広がる。


(完全に近づくほど)


 均一になる。


 差が消える。


 それは、これまで見てきた流れだ。


 だが今、目の前の結果は完璧だ。


 揺らぎは消えた。


 被害もない。


 観客席の政治家が言う。


「これが未来だ」


 拍手。


 歓声。


 ノアは動かない。


 カルディアがエルドに近づく。


「どう思いますか」


 静かな声。


 誇示ではない。


 純粋な確認。


 エルドは少しだけ考え、


「……速い」


 と答える。


「そして、正確です」


「ええ」


 カルディアは頷く。


「迷いがない」


 その言葉が重なる。


 エルドは視線を落とす。


(迷いがない)


 それは強さだ。


 だが同時に、


(逃げ場がない)


 とも思った。


 夕方。


 観測区画は解放される。


 揺らぎは完全に消えている。


 記録上も、完璧な収束。


 報道は一斉に流れる。


『帝国技術、完全自動化成功』

『人の判断不要の時代へ』


 エルドは屋上に立つ。


 街はいつも通りだ。


 だが世界は少し傾いた気がする。


 カルディアの言葉が残る。


 ――遅れません。


 その断言は、揺らがない。


 だからこそ。


(本当に、止まらないのか)


 風が吹く。


 境界域は、今は静かだ。


 静かすぎるほどに。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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