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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

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第80話 誰の差か

 許容揺動値、吸収。


 中央が意図的に作った微差は、

 数時間で均された。


 波形は再び平坦。


 わずかな凹凸も消え、

 均一化傾向が戻る。


「揺動が吸収されています」


 リスが報告する。


「外部から与えた差分が、

 揃え直されています」


 セドリックは画面を睨む。


「演算は正常だ」

「揺動値も機能している」


「機能しているのは、

 吸収の方です」


 エルドは静かに言う。


 制度が作った差は、

 制度が消す。


 揺らぎは学習する。


 与えられた差を、

 揃える。


 会議室は重い沈黙に包まれる。


 ミレイアが問いかける。


「なら、どうするの」


 エルドは少し考え、

 はっきりと言った。


「差は、制度ではなく

 人が作るべきです」


 視線が集まる。


「現場ごとに、判断を変える」

「完全な均一対応をやめる」


「ばらつきが出る」


 セドリックが即座に返す。


「被害が増える可能性もある」


「ゼロはありません」


 エルドは視線を逸らさない。


「均一も、被害を増やします」


 ノアが小さく頷く。


「差は、責任の形だ」


 その言葉が落ちる。


 差を作るということは、

 誰かが決めるということ。


 制度が決めれば、

 責任は薄まる。


 人が決めれば、

 責任は残る。


 数日後。


 実験的に、

 現場裁量を広げる通達が出る。


『中央補正値を参考値に格下げ』

『最終判断は現場責任者』


 エルドは初めて、

 中央補正を“参考”として受け取る。


 その夜。


 広域微差。


 均一化の兆し。


 中央は補正値を提示する。


 だがエルドは、

 あえて補助展開を遅らせる。


 完全な均一になる前に、

 局所で差を作る。


 北側は早めに補助。

 南側は遅らせる。

 中央は様子を見る。


 波形が揃わない。


 凹凸が残る。


 沈みは起きない。


 演算は維持。


 収束。


 管制室に静かな息が広がる。


 均一にはならなかった。


 だが崩れもしなかった。


 ノアが言う。


「それは、誰の判断だ」


 エルドは迷わず答える。


「俺の判断です」


 小さな差。


 だが確かに、


 人が作った差だった。

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