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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

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第77話 予測不能

 予測不能事象。


 表示は短く、冷たい。


 これまでのような誤差率も、

 同期率も表示されない。


 ただ、


『波形未定義』

『演算対象外』


 解析室が静まり返る。


「未定義……?」


 リスが呟く。


 中央最適化網は、過去データを基に演算する。

 類似波形に当てはめ、

 補正値を算出する。


 だが今回は、

 当てはめる先がない。


「観測地点は?」


「都市中央区、単一点」


 単一点。


 これまでの多点同期とは違う。


 エルドは現場へ急ぐ。


 中央区の広場。


 揺らぎは目に見えない。


 だが空気が重い。


「波形が……揺れていません」


 ミアが困惑する。


「揺れていない?」


「均一です」


 均一。


 差がない。


 それは揺らぎではない。


 だが空間が、わずかに沈んでいる。


「中央は?」


「演算不能」

「補正値なし」


 初めてだ。


 中央が、何も出さない。


 静寂。


 揺らぎはない。


 だが広場全体が、じわりと沈む。


「補助展開!」


 エルドが命じる。


 根拠はない。


 規則にもない。


 だが放置すれば危険だと直感する。


 補助結界が広がる。


 その瞬間。


 沈みが止まる。


 揺らぎが初めて、波形を持つ。


 乱れた小さな脈動。


 まるで、圧縮されていた差が、

 外へ逃げ出すように。


 数秒後、完全収束。


 被害なし。


 だが中央は沈黙したままだ。


 管制室に戻ると、

 セドリックが低く言う。


「予測網が参照できなかった」

「波形が均一すぎた」


「差がなかった」


 エルドが続ける。


「差がなければ、演算はできない」


 沈黙。


 ノアが壁際で言う。


「削りすぎたな」


 制度は差を消す。


 差がなければ、

 揺らぎは均一になる。


 均一は、演算不能。


 ミレイアが静かに言う。


「制度が、揺らぎを作っているの?」


 誰も答えない。


 夜。


 エルドは広場を見下ろす。


 何事もなかったように、

 人々が歩いている。


 だが彼は知っている。


 予測不能は、偶然ではない。


 差を消し続けた結果、

 揺らぎは“差のない形”を選んだ。


 端末が震える。


『広域均一化傾向確認』


 均一。


 それは安定ではない。


 それは、止まった水面だ。


 小石が落ちれば、

 全域が同時に揺れる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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