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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第1部 基準にならなかった男

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第57話 拒否の連鎖

 変化は、即座には現れなかった。


 だが、確実に広がっていった。


 最初に動いたのは、小さな地方都市だった。

 境界域F。

 これまでなら「ノア同行」を期待していた場所だ。


 だが、今回は違った。


『通常運用で対応』

『同行前提の判断は行わず』


 報告を読んだ若い職員が、思わず呟く。


「……本当に、それで行くんですか」


 調停局の男は、淡々と答えた。


「行く」

「それが、今の方針だ」


 結果は――

 派手ではなかった。


 被害は出た。

 負傷者もいた。


 だが、判断は早く、

 避難も迅速だった。


『拡大前に収束』

『被害、想定内』


 数字だけを見れば、

 “成功”とは言えない。


 それでも。


「……崩れてないな」


 隊長が、ぽつりと言った。


 同じ頃。


 別の地域では、真逆の判断が行われていた。


『境界域G、独自判断』

『安定要因を考慮した配置』


 言い換えれば、

 俺の存在を“前提”にした運用だ。


 だが、俺はいない。


 結果は、分かりきっていた。


『初動遅延』

『想定外の拡大』

『追加被害発生』


 報告書を机に置く音が、

 重く響いた。


 管理担当の女性が、苦い表情で言う。


「……同じ日に、

 ここまで差が出るとは」


「判断の差です」


 俺は、静かに答えた。


「能力の差じゃない」


 それは、はっきりしていた。


 俺が行った場所ではない。

 俺がいないから壊れたわけでもない。


 “俺を前提にしなかった”かどうか。

 それだけだ。


 数日後。


 同様の事例が、いくつも並び始める。


 方針を守った地域は、

 被害を抑えきれなくても、

 崩れなかった。


 無視した地域は、

 判断が遅れ、

 被害が拡大した。


 因果は、静かに積み重なる。


 世論も、変わり始めた。


> 「来るのを待つより、動いた方がいい」

> 「結局、自分たちの判断なんだ」


 大きな声ではない。

 だが、確実に増えている。


 アレクが、資料を閉じて言う。


「……拒否が、連鎖している」


「はい」


 俺は、頷いた。


「俺を使わない判断が、

 広がっている」


 ミレイアが、淡々と補足する。


「制度は、

 守られ始めています」


「違反した場合の責任も」

「はっきりした」


 それが、一番大きい。


 俺が何かをしたわけじゃない。

 声を荒げたわけでもない。


 ただ、

 “便利であること”を拒否した。


 それだけで、

 世界の判断が、少しずつ変わる。


 夜。


 管理施設の屋上で、

 風に当たる。


 遠くで、警報が鳴っている。

 別の境界域だ。


 だが、今回は違う。


 誰も、

 「ノアはどこだ」

 とは言わない。


 動くべき人間が、

 自分で動いている。


(……これでいい)


 完璧じゃない。

 被害は、なくならない。


 それでも。


 責任を預け合うより、

 判断を取り戻した方が、

 世界はまだ、まともだ。


 拒否は、広がる。

 俺を使わない、という拒否が。


 それは、

 小さくて、静かで、

 だが確実な変化だった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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