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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第1部 基準にならなかった男

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第54話 俺を使うな

 次の会議は、前回よりも人が少なかった。


 だが、重さは増している。


 調停局の男。

 作戦統括官のアレク。

 管理担当の女性。

 そして、見慣れない女性が一人。


 灰色の法衣。

 感情の読めない目。


「ミレイア・ロウです」

「法務局・特例案件担当」


 名乗りは、それだけだった。


 アレクが、すぐ本題に入る。


「前回の続きだ」

「ノア、逆提案を聞かせてほしい」


 全員の視線が集まる。


 俺は、立ち上がらない。

 座ったまま、言った。


「前提を変えてください」


 一拍。


「俺を、

 “安定要因”として

 扱うのをやめてください」


 管理担当の女性は、驚かない。

 だが、アレクは眉をひそめた。


「それは、現実的じゃない」


「分かってます」


 俺は、すぐに肯定する。


「現実的じゃない」

「でも、それ以外に壊れない方法がない」


 アレクが問い返す。


「では、どうする」


「簡単です」


 俺は、言葉を区切った。


「俺の同行を前提に、

 判断を下すな」


「俺がいるから大丈夫、

 という判断を

 禁止してください」


 室内が、静まり返る。


 それは、

 作戦効率を下げる提案だった。


 アレクが、率直に言う。


「被害は増える」


「一時的には」


 俺は、はっきり答える。


「でも、

 俺を前提にした判断は」


「必ず、

 もっと大きな被害を呼ぶ」


 ミレイアが、初めて口を開いた。


「……その条件は」

「法的には、非常に不安定です」


 声は淡々としている。


「あなたがそこにいる以上」

「“考慮しない”という判断は」

「現場には難しい」


 正論だった。


「だから、

 制度で縛ってください」


 俺は、即答する。


「現場判断ではなく」

「規則として」


 ミレイアが、少しだけ目を細めた。


「あなたは、

 自分の影響力を

 正確に理解していますか」


「ええ」


「だから、

 使わせたくないんです」


 アレクが、低く息を吐く。


「……自分を、

 切り捨てる提案だな」


「違います」


 俺は、首を振る。


「俺を守る提案です」


「俺を使えば、

 世界は楽をする」


「楽をした分だけ、

 次に壊れる」


 調停局の男が、静かに言った。


「つまり」


「君は、

 “俺を使うな”

 と言っているわけだ」


「はい」


 即答だった。


 ミレイアが、書類に目を落とす。


「……制度化するなら」

「あなたにも、

 制約が必要になります」


「外部への発言制限」

「移動の記録管理」

「独断行動の禁止」


 それは、

 ある意味で監視だった。


「構いません」


 俺は、迷わず答える。


 管理担当の女性が、

 はっとしたように俺を見る。


「……そこまで?」


「そこまでしないと」

「世界は、俺を止めない」


 アレクが、ゆっくり頷いた。


「分かった」

「提案として受け取る」


「だが」


 一拍。


「世界が、

 それを受け入れるとは限らない」


 俺は、視線を上げる。


「受け入れなくていいです」


「ただ」

「壊れる理由が、

 はっきりするだけです」


 会議は、結論を出さずに終わった。


 だが、流れは決まった。


 俺は、前に出ない。

 そのために、前に出た。


 矛盾しているようで、

 これしかない。


 部屋を出るとき、

 ミレイアが小さく言った。


「……あなたは」

「責任を拒否しているのではない」


「責任の形を、

 選び直しているだけですね」


 俺は、振り向かなかった。


 肯定も、否定もしない。


 ただ一つだけ、はっきりしている。


 もう、

 “便利な存在”ではいられない。


 それを世界に飲ませるまで、

 俺は、引かない。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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これからもどうぞよろしくお願いします!

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