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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第1部 基準にならなかった男

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第48話 国家は約束を守った

 公式声明が出たのは、

 境界域Cの件から二日後だった。


 内容は、簡潔で、隙がない。


・ノア・エルディンは当該事案に関与していない

・同行予定は存在しなかった

・虚偽情報が判断を誤らせた可能性が高い

・責任は国家が負い、補償を行う


 事実だけを並べた文章だった。


 感情的な言葉はない。

 擁護も、糾弾もない。


 管理施設の会議室で、

 その声明を確認する。


「完璧だな」


 隊長が、

 率直に言った。


「余計なことを

 一切言っていない」


 調停局の男も、

 同意する。


「これ以上、

 国家ができることはない」


 俺は、

 黙って画面を見ていた。


 声明の外側で、

 何が起きるかが

 問題だったからだ。


 その予感は、

 すぐに現実になった。


 数時間後。


 外部の反応が、

 まとめられて届く。


 地方紙の見出し。


「なぜ、同行予定が

否定されたのか」


 掲示板の書き込み。


「国家が隠しているだけでは?」

「都合が悪くなったから

切り捨てたのでは」


 論調は、

 露骨ではない。


 だが、

 疑念が混ざり始めている。


「……信じてもらえない、

 ですね」


 俺が言うと、

 管理担当の女性が頷いた。


「国家が“正しい対応”をすると」

「必ず、

 “裏がある”って言う人が出る」


 皮肉でも、

 愚痴でもない。


 ただの経験談だ。


「約束を守った結果、

 疑われる」


 調停局の男が、

 静かに言った。


「だが、

 それでも守る」


 その言葉に、

 迷いはなかった。


 午後。


 管制室の片隅で、

 若い職員が

 小声で話しているのが聞こえた。


「本当は、

 行くはずだったんじゃ……」


「いや、

 公式には違う」


「でもさ、

 今までの流れ的に――」


 言葉は、

 途中で止まる。


 誰かに

 聞かれると思ったのだろう。


 俺は、

 何も言わずに通り過ぎた。


 正しい対応をしても、

 疑念は消えない。


 むしろ。


 正しさそのものが、

 不自然に見え始める。


 夕方。


 管理担当の女性が、

 俺にだけ言った。


「あなたを

 前に出す案も、

 検討はされた」


「でも、

 却下した」


「……理由は?」


「一度でも、

 世論対策で

 あなたを使ったら」


「もう、

 戻れなくなるから」


 俺は、

 小さく息を吐く。


「……ありがとうございます」


 本音だった。


 夜。


 部屋で端末を開くと、

 匿名の投書が

 一件届いていた。


「国家が

あなたを守る理由は何ですか」


 質問の形をしている。


 だが、

 答えは求めていない。


 疑う理由を、

 確認しているだけだ。


 俺は、

 返信しなかった。


 国家は、

 約束を守った。


 それは、

 間違いない。


 だが。


 世界は、

 約束を守る側を

 信用するとは限らない。


 それが、

 はっきりしてきた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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