表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第1部 基準にならなかった男

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/90

第40話 それでも基準は保たれた――その日までは

 異変は、

 前触れなく届いた。


 朝の予定表に、

 一行だけ追記されている。


緊急共有(全体)


 内容は、

 簡潔だった。


「……境界域で、

 観測不能事象を確認?」


 俺は、

 その文言を読み返す。


 観測不能。

 それは、

 これまで何度も使われてきた言葉だ。


 だが、

 今回の注釈が違った。


※同行の有無に関わらず発生


 胸の奥で、

 何かが沈んだ。


 小会議室に集められたのは、

 いつもの顔ぶれ。


 だが、

 全員が少しだけ疲れている。


「状況を説明する」


 調停局の男が、

 低い声で言った。


「境界域第三観測点で、

 魔力流の異常を確認」


「通常なら、

 君が同行していれば

 収束する類の現象だ」


 “通常なら”。


 その前置きが、

 重い。


「だが、

 今回は違う」


 研究院の女性が、

 補足する。


「現象が、

 君の影響圏の外で発生している」


 俺は、

 黙って聞く。


 何も、

 感じない。


 それが、

 一番の違和感だった。


「つまり」


 騎士団の士官が、

 言葉を継ぐ。


「ノア・エルディンを

 基準にした安全圏が」


「破られ始めている」


 部屋が、

 静まり返る。


 調停局の男は、

 すぐに続けた。


「誤解するな」


「君の条件は、

 今も有効だ」


「責任を負わせる気も、

 判断を求める気もない」


 俺は、

 小さく頷く。


 それは、

 約束だ。


「だが」


 その一言で、

 空気が変わる。


「世界が、

 君を基準にすることを

 やめ始めている」


 初めて、

 はっきりした言葉だった。


 これまでは、

 俺がいることで

 “多少マシになる”。


 だが、

 その“多少”を

 上回る何かが出始めた。


 管理担当の女性が、

 不安を隠さずに言う。


「……今までは、

 あなたが“揺らぎの中心”だった」


「でも、

 中心が増えたら?」


 俺は、

 ゆっくり息を吐く。


「……俺は、

 どうすればいいですか」


 久しぶりに、

 自分から聞いた。


 調停局の男は、

 即答しなかった。


 それが、

 答えだった。


「当面は、

 これまで通りだ」


「同行も、

 条件も、

 変えない」


「だが」


 一拍。


「同時多発が始まった場合」


「君を

 “どこに置くか”という

 問題が生じる」


 それは、

 戦略の言葉だった。


 俺を

 どう使うか、ではない。


 どこに置くか。


 会議は、

 それ以上進まなかった。


 結論は、

 出ない。


 だが。


 初めて、

 “基準が破られる側”の話が出た。


 部屋を出る。


 廊下は、

 いつも通り静かだ。


 外の風も、

 穏やかに流れている。


 俺は、

 立ち止まり、

 ふと考える。


(……俺が、

 何かしなくても)


(世界の方が、

 勝手に進むのか)


 それなら。


 俺の条件は、

 まだ守られる。


 だが、

 次は――

 守られたままでは

 済まない。


 その夜。


 境界域から、

 第二報が届いた。


同種事象、

別地点でも確認


 俺は、

 端末を閉じる。


 英雄になるつもりはない。

 責任も、

 背負わない。


 それでも。


 世界が俺を基準にする理由が、

 崩れ始めた。


 それは、

 今までで一番

 嫌な予感だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ