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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第1部 基準にならなかった男

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第27話 低危険度任務は、静かすぎて落ち着かなかった

 翌朝。


 俺は、管理施設の正面で待たされていた。


 馬車が一台。

 護送用にしては小さく、

 調査任務にしては人が少ない。


「ノア・エルディンだな」


 声をかけてきたのは、

 三十代後半くらいの男だった。


 装備は軽装。

 だが、隙がない。


「今日の同行任務、

 よろしく頼む」


「こちらこそ」


 周囲を見る。


 人数は四人。


 隊長らしき男。

 斥候役。

 記録担当。

 ――そして俺。


(……雑用、

 とは言われてないな)


 隊長が、

 簡単に説明する。


「任務内容は、

 街道沿いの魔獣発生状況の確認」


「危険度は低」


「護送対象もない」


「だから、

 力む必要はない」


 全員が頷く。


 俺も、

 とりあえず頷いた。


 馬車が動き出す。


 街道は、

 整備されている。


 人の往来もある。

 商人の姿も見える。


(……本当に、

 危険度低だな)


 斥候役が、

 前方を確認しながら言った。


「反応、なし」


「魔獣の痕跡も薄い」


 隊長が、

 ふむ、と唸る。


「最近は、

 この辺りも荒れてたはずなんだが」


 記録担当が、

 端末を見ながら言う。


「数日前の報告では、

 小型魔獣が複数確認されています」


「……妙だな」


 俺は、

 何も言わずに外を見る。


 空気は、

 落ち着いている。


 魔力の流れも、

 安定している。


(……整いすぎ、

 なんだよな)


 進むほどに、

 違和感は増した。


 道端に、

 魔獣の爪痕がない。


 獣避けの結界も、

 反応していない。


 まるで――

 最初から、

 何もいなかったかのようだ。


 斥候役が、

 小さく首を傾げる。


「……なあ」


「こんなに静かだったか?」


「いや」


 隊長が即答する。


「この道は、

 もう少し“荒れる”」


 全員が、

 無言になる。


 だが、

 誰も「引き返そう」とは言わない。


 危険がない。

 それが、

 判断を鈍らせる。


(……危険がない、

 はずなのに)


 俺は、

 足元の感触を確かめる。


 馬車の振動。

 地面の硬さ。


 どれも、

 問題ない。


 問題がないことが、

 問題に見える。


 休憩のため、

 馬車が止まった。


 隊長が、

 俺の方を見る。


「ノア」


「はい」


「……調子はどうだ」


 急な質問だった。


「普通です」


 正直な答え。


 隊長は、

 少しだけ考える。


「そうか」


 それ以上、

 何も言わない。


 だが、

 視線は外さなかった。


 休憩後も、

 何事もなく進む。


 結局。


 魔獣は、

 一体も現れなかった。


 任務は、

 あっさりと終了する。


「……空振り、

 だな」


 斥候役が、

 苦笑する。


「まあ、

 何も起きないなら

 それに越したことはない」


 隊長はそう言ったが、

 表情は硬い。


 帰路。


 記録担当が、

 端末に結果をまとめる。


「異常なし、

 と」


 その言葉に、

 誰もすぐには返事をしなかった。


 管理施設が見えてくる。


 任務は、

 確かに終わった。


 だが。


(……これ、

 本当に“異常なし”か?)


 俺は、

 胸の奥の違和感を

 そのままにしておく。


 言語化できないものを、

 無理に口に出す必要はない。


 それは、

 俺の立場じゃない。


 馬車が止まり、

 解散となる。


 隊長が、

 最後に一言だけ言った。


「……次も、

 頼むことになるかもしれん」


「分かりました」


 そう答えながら、

 俺は思う。


(次も、

 何も起きないんだろうな)


 理由は、

 分からない。


 ただ、

 そんな気がした。


 その感覚が、

 正しいかどうかは――

 次の任務で、

 分かる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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