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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ


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24/24

第24話 それは追放でも栄転でもなく、ただの移動命令だった

 翌朝、

 俺は再び呼び出された。


 場所は、

 昨日の会議室よりも小さな応接室。


 中にいたのは、

 ガルドと、見覚えのない男。


 年齢は三十代半ば。

 軍服でも学園服でもない。


(……誰だ)


「座ってくれ」


 ガルドに促され、

 椅子に腰を下ろす。


 男は、

 名乗った。


「王国調停局の者だ」


 聞いたことはある。


 聞いたことはあるが、

 学生が関わる部署じゃない。


「本題に入ろう」


 男は、

 淡々と続ける。


「ノア・エルディン」


「君には、

 一時的な移動命令が出ている」


「……移動、ですか」


「そうだ」


 紙が差し出される。


 内容は簡潔だった。


学園外施設への移動


身分は学生のまま


学籍は保持


期間は未定


(……未定、か)


「理由は?」


 聞かずにはいられなかった。


 男は、

 一瞬だけ視線を伏せる。


「安全確保」


 それだけ。


「……俺の?」


「君の周囲のだ」


 はっきりとした言い方だった。


 ガルドが、

 言葉を継ぐ。


「罰ではない」


「評価でもない」


「必要な措置だ」


 その三つが並ぶと、

 逆に実感が湧かない。


「拒否は……?」


「できない」


 即答だった。


 だが、

 強制的な圧は感じない。


 ただ、

 選択肢がないだけだ。


「移動先は?」


「王都郊外の管理施設だ」


「研究施設ではない」


「生活環境は、

 学生寮に近い」


(……保護、

 ってやつか)


 頭の中で、

 そう整理する。


「……俺、

 何か危ないんですか」


 思わず聞いてしまった。


 男は、

 少しだけ言葉を選んだ。


「現時点では、

 そう判断されていない」


「だが、

 判断できないこと自体が

 問題視されている」


 分かるようで、

 分からない。


 ガルドが、

 珍しく真剣な顔で言う。


「ノア」


「今は、

 従ってくれ」


「……それが、

 一番面倒が少ない」


 その言い方に、

 苦笑する。


「分かりました」


 結局、

 そう答えるしかない。


 手続きは、

 驚くほど早かった。


 その日のうちに、

 荷物をまとめるよう指示される。


 学園に戻ると、

 視線が集まった。


「……あれ?」


「ノア?」


「どうしたんだ、

 荷物なんか持って」


 説明できることは、

 何もない。


「ちょっと、

 移動するだけです」


 それだけ言う。


 勘の良い生徒は、

 何も聞かなかった。


 無能扱いしていた連中は、

 困惑した顔をしている。


「追放?」


「いや、

 そんな感じじゃ……」


 囁き声が、

 背後で交差する。


 俺は、

 自分の席を見た。


 後ろの方。

 目立たない場所。


(……まあ、

 もう使わないか)


 荷物を肩にかけ、

 教室を出る。


 ガルドが、

 廊下で待っていた。


「見送りは、

 ここまでだ」


「ありがとうございます」


「……何もできなくて、

 すまない」


 その言葉に、

 少し驚いた。


「先生が謝ることじゃありません」


 ガルドは、

 小さく頷いた。


「無事でいろ」


 それだけ。


 学園の門を出ると、

 簡素な馬車が待っていた。


 護衛はいない。


 だが、

 視線は感じる。


(……自由、

 ではないな)


 馬車が動き出す。


 学園の塔が、

 少しずつ遠ざかっていく。


 俺は、

 窓の外を眺めながら思う。


(追放じゃない)


(栄転でもない)


(……でも)


 もう、

 学生生活には戻れない


 そんな予感だけが、

 胸に残っていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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