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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ


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第23話 国家は、最悪の可能性から目を逸らさない

 王都・中央庁舎地下。


 非公開会議室には、

 最低限の人間しか集められていなかった。


 王国騎士団参謀、

 王立研究院主任、

 結界管理局代表、

 そして――国家調停官。


 机の中央に置かれているのは、

 旧監視施設の最終報告書。


「では、

 再度確認する」


 調停官が、低い声で言う。


「当該生徒は、

 意図的な魔力行使を行っていない」


「はい」


 研究院主任が頷く。


「少なくとも、

 観測できる範囲では」


「では、

 現象はどう説明する?」


 一瞬の沈黙。


 騎士団参謀が、

 報告書の一文を指で叩く。


「説明できない」


「だから、

 問題なのだ」


 結界管理局代表が続ける。


「施設内部の魔力乱流は、

 自然収束ではあり得ない」


「強制的に抑え込むには、

 莫大な出力が必要だ」


「それが、

 観測されていない」


 調停官が、静かに言う。


「つまり――」


「力の規模が、

 観測体系の外にある」


 誰も否定しなかった。


 研究院主任が、

 少し間を置いて口を開く。


「仮定の話をします」


「もし、

 あの生徒が敵対的だった場合」


 場の空気が、

 さらに重くなる。


「結界網への干渉は可能か?」


 結界管理局代表は、

 即答した。


「可能性は否定できない」


「都市規模での機能停止は?」


「最悪、

 あり得る」


 騎士団参謀が、

 低く唸る。


「被害想定は」


 研究院主任が、

 資料をめくる。


「死者数は予測不能」


「ですが――」


 一拍。


「戦闘にならない可能性が、

 最も高い」


「……どういう意味だ?」


「彼が、

 “戦う必要がない”からです」


 その言葉に、

 全員が理解した。


 力を使わずに、

 結果だけを変えられる。


 それは、

 最も対処が難しいタイプだ。


 調停官が、

 指を組む。


「では、

 逆の場合は?」


「協力的だった場合」


 騎士団参謀が、

 即座に答える。


「戦力として扱うのは危険だ」


「依存すれば、

 国家が脆くなる」


「制御不能の力に、

 安全保障を委ねるわけにはいかない」


 研究院主任が、

 静かに頷く。


「つまり」


「敵でも、

 味方でも困る」


 結界管理局代表が、

 端的にまとめた。


 沈黙。


 調停官が、

 最終判断を下す。


「――刺激しない」


「評価しない」


「利用しない」


「ただし、

 放置もしない」


 その矛盾した方針に、

 誰も異を唱えなかった。


「当面は、

 保護名目で管理」


「接触は最小限」


「行動制限は、

 本人の生活を崩さない範囲で」


 研究院主任が、

 一つだけ確認する。


「本人に、

 説明は?」


 調停官は、

 首を横に振った。


「説明できる段階ではない」


「下手な説明は、

 不信を生む」


「不信は、

 刺激だ」


 騎士団参謀が、

 低く言った。


「……学生ですよ」


「分かっている」


 調停官は、

 はっきり答える。


「だからこそ、

 扱いを誤れない」


 会議は、

 それ以上続かなかった。


 結論は、

 すでに出ている。


 この生徒は、

 国家にとって

 “分類不能”である。


 それが、

 現時点での唯一の評価だった。


 その頃。


 王都の一角で、

 一人の少年が、

 与えられた部屋で

 書類を眺めていた。


(……外出申請、

 面倒だな)


 彼は、

 自分が今、

 国家レベルで議論されているとは

 夢にも思っていない。


 ただ。


 この日を境に、

 彼の居場所は

 「学園」ではなくなった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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