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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ


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第15話 出発前の空気は、少しだけ噛み合っていなかった

 学園外任務の出発は、早朝だった。


 まだ日が完全に昇りきらない時間帯。

 正門前には、任務用の馬車と装備が並んでいる。


 候補生たちは、すでに集まっていた。


 鎧の留め具を確認する者。

 魔力通信具を何度も起動する者。

 緊張を隠そうと、無駄に声を張る者。


「よし、全員いるな」


 副教官が人数を確認する。


 候補生は六人。

 引率が一人。

 補助要員が一人。


 ――俺だ。


(……場違いだな)


 軽装。

 背負っているのは、荷物袋と記録用の簡易端末。


 武器らしい武器もない。


 視線が、ちらちらとこちらに向く。


「……本当に来たのか」


「雑用だろ?」


「邪魔にならなきゃいいけど」


 聞こえないふりをする。


 どうせ、

 期待されていないのは分かっている。


 副教官が全体に向けて言った。


「今回の任務は、

 旧監視施設周辺の調査だ」


「目的は三つ」


「一、魔獣の活動確認」

「二、魔力環境の測定」

「三、異常があれば即時撤退」


 言葉は淡々としているが、

 強調ははっきりしていた。


「戦闘は想定していない」


 その一言で、

 候補生の肩から、少し力が抜ける。


(……本当に、想定してないだけなんだよな)


 副教官の言い方は、

 そう聞こえた。


 出発前の最終確認。


 候補生たちは、二人一組で行動する。

 俺は、最後尾。


 副教官が、俺の前で足を止めた。


「ノア」


「はい」


「……無理はするな」


「しません」


 即答すると、

 彼は一瞬だけ、困ったような顔をした。


(……やっぱり、

 雑用に言う言葉じゃない)


 馬車が動き出す。


 学園の門が、ゆっくりと遠ざかっていく。


 候補生の一人が、少し弾んだ声で言った。


「外に出るの、久しぶりだな」


「すぐ戻るだろ」


「記録が残れば、評価も――」


 副教官が、遮った。


「評価の話は、終わってからだ」


 空気が、少し締まる。


 道中。


 俺は、馬車の揺れに身を任せながら、

 外の景色を眺めていた。


 学園の結界を越えると、

 空気が変わる。


 ――魔力が、雑だ。


(……ああ)


(これ、

 近郊でも結構乱れてるな)


 口には出さない。


 出す理由もない。


 候補生の一人が、端末を見て首を傾げる。


「測定値、

 少しブレてないか?」


「誤差だろ」


「学園の外だしな」


 そう言って、深く考えない。


(……誤差、ね)


 馬車が止まる。


 旧監視施設までは、

 ここから徒歩だ。


「ここからは、

 警戒を怠るな」


 副教官の声が低くなる。


 候補生たちは、真剣な顔で頷いた。


 俺は、最後尾で荷物を背負い直す。


(さて)


(外だ)


 学園の外。


 管理されていない場所。


 それでも。


 今のところ、

 特別なことは何も起きていない。


 だから、

 俺はいつも通りだ。


 無能として。

 雑用として。


 静かに、

 一行の後ろを歩き出した。


 ――この時は、まだ。


 この任務が、

 学園生活の区切りになるとは、

 誰も思っていなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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