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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ


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第14話 無能は、雑用として外に出ることになった

 その日、俺は授業が終わったあと、

 いつものようにガルドに呼び止められた。


「ノア・エルディン」


 はいはい、来ました。


(書類運びか、倉庫整理か)


 どちらでもいい。

 どのみち、断る理由はない。


「少し、時間はあるか」


「あります」


 即答すると、

 ガルドは一瞬だけ、視線を外した。


(……あれ)


(今の、間はなんだ)


 連れて行かれたのは、事務棟の奥。

 第11話で来た場所より、さらに静かな部屋だった。


 中には、ガルドのほかに二人。

 一人は副教官、

 もう一人は見覚えのない教師。


 空気が、やけに硬い。


(……雑用にしては、人数多くないか)


「座れ」


 言われるまま、椅子に座る。


 ガルドが、簡潔に切り出した。


「近々、学園外任務がある」


 知ってる。

 掲示板で見た。


「その任務に――

 お前も同行する」


「……はい?」


 一瞬、言葉の意味が分からなかった。


「同行、ですか」


「そうだ」


 副教官が続ける。


「候補生の補助。

 記録整理、荷物管理、伝令」


(ああ、雑用枠ね)


 納得した。


「分かりました」


 即答すると、

 部屋の空気がわずかに揺れた。


(……え)


(今の返事、

 そんなに意外だったか?)


「断らないのか」


 見覚えのない教師が聞いてくる。


「断る理由がありません」


 本音だ。


 学園の外に出るのは初めてだが、

 危険度は低いと聞いている。


 それに、雑用なら前に出る必要もない。


(むしろ、

 演習より楽かもしれない)


 ガルドは、しばらく俺を見てから言った。


「……任務中は、

 勝手な行動をするな」


「しません」


「候補生の指示に従え」


「分かりました」


 全部、当たり前のことだ。


 なのに。


 副教官が、念を押すように続ける。


「危険を感じたら、

 すぐに離れろ」


「はい」


「判断に迷ったら、

 必ず報告しろ」


「はい」


(……丁寧だな)


 雑用に対して、

 少し過剰な気がする。


 だが、

 それ以上の説明はなかった。


「詳細は、明日伝える」


 それで話は終わった。


 部屋を出るとき、

 背中に視線を感じた。


 振り返らなかった。


 どうせ、

 無能が外に出るのを心配しているだけだ。


 廊下で、例の平民の生徒に会った。


「あれ?」


 彼は目を丸くした。


「事務棟から出てくるって、

 珍しいな」


「雑用です」


「……もしかして」


 一拍。


「外、行くのか?」


「はい。

 任務の補助で」


 彼は、言葉を失った。


「……え」


「そんな顔しなくても」


 俺は肩をすくめる。


「荷物持ちですよ」


 彼は、しばらく黙り込んでから言った。


「……気をつけろよ」


「雑用に?」


「外に、だ」


 その言い方が、

 少しだけ引っかかった。


「大丈夫ですよ」


 そう答えたが、

 根拠はない。


 ただ、

 今までだって何とかなってきた。


 無能として。


 静かに。


 その夜。


 任務候補生たちは、

 最終説明を受けていた。


 その資料の端に、

 小さく名前が追加されている。


 補助要員:ノア・エルディン


 その名前を見て、

 何人かが顔をしかめた。


「……あいつ?」


「足手まといじゃないか」


 だが。


 副教官は、きっぱりと言った。


「彼は、

 今回の任務に必要だ」


 理由は、説明されなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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