8.コリーナの初登校
初・登校の日です。
ルナが気合いを入れ(私は普通でいいよと言いました。)、かなりフェロー様にもシーラ様にも合格いただけました。
今日が基準になってしまうと、毎日気合いを入れる必要があるので大変なのですが…。
「コリーナちゃんは何でも似合うわね~。若くって美人さんだもの!」
「コリーナ嬢は昔のシーラによく似ている。制服も似合うね。チラッと覗く服もセンスがいい」
「陛下にお褒め頂き誠にありがとうございます」
「私も私の侍女を褒めて頂きありがとうございます。こんな感じで制服を着ればよいのでしょうか?」
「コリーナちゃんは120点満点よ~!!」
「そうだな。完璧だ」
と、王宮では褒め殺しのような状態でした。
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王立学園は淑女としての教育はもちろんのこと、人脈を作る目的もあります。
確かに、私はこの国に知り合いは王宮にしかいませんから。自分の心の中の発言で若干凹みます。
学園はレンガ造りで、堅牢なイメージ。
イメージに反して、生徒は奔放というように学園側から説明を受けました。
「本日よりこのクラスに転校してきましたコリーナ=ホウジョウと申します。よろしくお願いします。」
私はごくごく普通な学生生活を夢見ていました。
ダメでした。
「アラ?王宮にお住みの方が学園に何の用なのかしら?」
勉強をしに来ているのですが?
「その見た目、年齢詐称~?」
なんかの嫌がらせですか?見た目って天然なんですけど?
「(あまり言いたくなかったけど)叔母が皇妃なので、王宮に住まわせていただいているのです。当初は帝国内の物件で暮らす予定だったのですが、叔母がどうしてもと…。それから、見た目とはこの髪と瞳の色でしょうか?どちらも天然ですし、年齢は詐称しておりません。これは遺伝ですし、年齢については皇帝陛下のお墨付きです」
本当に言いたくなかったのよね。
私と親しくすれば皇帝とも…などと考えるのが、貴族。伏せて平穏に暮らしたかったのに。
王宮行脚でシーラ様が「私の姪なの~!」と言って回ったのは仕方ないとしても、学園の中だけはという想いがあったのだけれど……。
これで、私の後ろ盾は皇帝夫妻。私になんかしたら皇帝夫妻の逆鱗に触れる。というのが植え付けられてしまったことでしょう。
そんななので、私の周りには私に媚び媚びの女子生徒が着いて回るようになりました。
正直なところ、迷惑です。
どこに行くにもついてくるから、動きにくい。
男子生徒はと言いますと、家庭の事情でしょうか?私をどうにかして自分の婚約者にしようという気配を感じます。
放課後そんな中、わざわざ婚約解消して私にアプローチしてきた令息がいらっしゃいました。
正直に言いますと令息の婚約事情など、私には関係ありません。
「婚約を解消してまで貴女との婚約を考えている」と言われても、知りません。私はその令息に婚約を解消して、自分と婚約してほしいとは言っていないのです。
「自分の都合で女性を振り回す殿方を好ましいとは思いません」と、私ははっきり断りました。
この事に何故か怒ったのが、令息の元・婚約者だった令嬢。
「私が婚約解消したんだから、あの人と婚約しなさいよ!」
と、わけわからないことを言われました。令息にも当然怒られ、令嬢も怒り、わけわかりません。
私にはわからないので、「では、皇帝陛下に伝えておきますね」と言うと、二人して仲良く顔を青くして去っていきました。
仲良く顔色を同じくするくらいなのだから婚約解消などしなければよかったのに……。
その日の夕食、フェロー様に予告通りにお伝えしました。
「私は顔色まで仲良かったのですから、婚約解消などしなければよかったのにと思ったのですが?」
「ハッハッハッ、コリーナ嬢はまだまだ若いなぁ。貴族の古狸はなぁ、君を利用しようと思ったんだよ」
へっ??
「婚約解消をするだろう?その男の方が君と婚約したとしよう。そして、利権をものにするんだな」
「私にそんな利権はないんですけど?」
「そんな内部事情は知らないのさ、まだまだ若造だからなぁ。そのあとは、婚約解消をした家と利権を折半するとかそんな契約だったんじゃないか?よくもまぁ、コリーナ嬢と婚約できると思ったもんだ」
「コリーナちゃんは簡単に渡しませんよ~!」
「そうです!さすがシーラ様!お嬢様の価値をわかっていらっしゃる!」
私の価値とは?
わけわからん理論でコリーナちゃんを利用しようとしてるんだねぇ。成敗!