7.制服でのセンス
ダガーズ様だって、私と同じくらいの年齢なのかしら?
学園に通わなくていいのかしら?OBというやつかしら?
その日の夕食において、私は学園にどの程度の服で通うべきなのかをフェロー様に訊ねようと決心していました。
食堂、想定外のテーブルの長さです。
広さとか大きさではなく、長さです!
フェロー様は当然上座。私は下座です。
結構大声を出さないと声が届かないのでは?しかし、それではマナーが…。
やむを得ず、淑女としてはあるまじき行為ですが食事中に大声でフェロー様に話しかけました。
「フェロー様、食後に相談に乗ってください!」
乗ってくれませんか?などと、相手のイエス・ノーを訊ねる言い方ではありません。
この言い方ではイエス一択です。
***
食後、私はフェロー様を王宮内の一室に招待しました。
ルナもいますし、シーラ様もいます。
「えーと、学園にはどの程度の服装で通えばいいのでしょうか?私服とお聞きしたのですが、華美でも質素すぎでもいけないでしょう?」
「そういった要望・悩みが多くてなぁ。王立の学園という事もあって、今年度より制服を導入することにしている。特に令嬢から「同じ服を着ていく事に抵抗がある」等の意見があってなぁ。確かに夜会などに同じ服を着ていく事は家の恥みたいなものに感じる人は多いから。そういう人には私服は金がかかって仕方がなかったのだろう。そういった事情もあっての制服制度の導入だ。コリーナ嬢のクローゼットにも制服があるはずだ」
「お嬢様、あとでしっかりと確かめておきます」
制服なら安心。楽だ~。
「学年ごとにリボンの色が違ったりするから、それで上級生なのかわかったりと結構便利だ」
私は二年生だからえんじ色でしょうか?
「他にも、表彰されたら勲章が着いたりするし、まぁ色々便利だな。ハッハッハッ」
「そういえば、ダガーズ様は学園に通わなくてもいいのですか?見た感じ、私と同じ世代…」
「確かにダガーズはコリーナ嬢と同じ世代だけど、去年卒業しているなぁ。「私服が面倒くさい」とブツブツ文句を言っていたよ」
あ、そういうタイプっぽいですね。
「私は正直、コリーナ嬢の制服姿が見たい!」
「私も~」
「僭越ながら、私もお嬢様の制服姿はさぞ美しいことかと…」
―――ルナまで。
***
夕食後に部屋に戻り、クローゼットを確認してみると『我こそは、制服なり!』というような服があった。
サイズは―――言わずもがなピッタリです。
この服で2年位学園で過ごすならいいかなぁ?などと空想に浸っていたのですが…
「いけません、お嬢様!せめて半年で新しい制服と交換しなくては。毎日同じ服を着るなど、嘆かわしい…」
フェロー様の前では「制服万歳!」って感じだったけど、そんな風に思ってたんだ。
「えーと、制服の中に着るものは毎日交換するわけだし、ルナの腕の見せどころよ!天候とかも関係するわけですし」
と、フォローをいれておきました。
制服といっても100%その服ではなくて、アンダーウェアと言うんでしょうか?チラ見せをさせるような部分があるので、その辺のセンスはルナにかかっています。
その部分で、家柄だとか侍女のセンスなんかが評価されるんでしょうねぇ。
貴族社会って面倒だわ。と改めて思うのです。
異世界の学園での制服事情。