17.告白とお見舞い
遠征……。
そうよね、騎士様なんだもの。遠征だってするわよね。
前線で戦ったりするのかしら?
強いのでしょうけど、心配だわ。
「兄上!どういうことですか?」
「何がだ?」
「この度の遠征、私は遠征に従軍する事さえできなかったじゃないですか?どういう事ですか?」
フェロー様の「あいつが口を滑らせたのか?」という呟きを私の耳はキャッチしてしまった。
「あー、お前は腐ってもこのリーク帝国の皇弟だ。そんな重要人物を危険地域に行かせるわけにはいかないだろう?(コリーナちゃんも悲しむし)」
「……」
「確かに普段の鍛錬から見てもダガーズは強いと思う。しかしだ。遠征においてお前の身になにかあってみろ!この国の重鎮臣下のバランスが崩れる。平たく言うと皇帝派と皇弟派だな」
へぇ、そうなんだ。
「……」
「そういうわけで、ダガーズは遠征に行かずに残ってもらっている。疑問は?」
「皇弟派は兄上にとって邪魔ではないのですか?」
「それはだなぁ。若干難しい話になるが、皇弟派が弱体化して皇帝派が強力。ほぼ実権を握るとしよう。そうするとだ、どんな無理を私が言っても貴族たちはNOと言わない。私の独裁となる。皇弟派がいるから、私が独裁とならないのだよ」
そうなんだ。確かに変な皇帝令に対してNOを言う貴族が居なくなる事は、独裁になり、国として危なくなる。
「そういった理由で俺が遠征に行けないのですか……」
あぁっ、ダガーズ様が落ち込んでいるっ。
「コリーナ嬢!今がチャンスだと思うのだけど?」
それは告白ということでしょうか?……衆人環視。
「あのっダガーズ様っ。私はフッラクション王国から留学に来ていますコリーナ=ホウジョウと申します。シーラ様が叔母様という縁で王宮で生活をさせていただいております」
ダガーズ様は何だか驚いているよう…な気がするんですけど?
「それでっ、あのっ、あのですねっ」
私は頭が真っ白になった。
「私は貴方の事が好きなんですー!!」
「コリーナちゃん、よく頑張ったわねぇ~」
と、いうシーラ様の声を最後に私は情けなくも気絶してしまった。
目を覚ますと私は自分の部屋のベッドに寝かされており、ルナが大声で「お嬢様がお気づきになりましたー!!」と廊下に向けて叫びました。
フェロー様・シーラ様と見舞いに来てくれました。
「コリーナちゃん、告白の後気絶しちゃったのよ~。緊張しちゃったのね~」
「コリーナ嬢は繊細だなぁ」
なんと見舞いにダガーズ様がいらしてくれました!
「このような格好で申し訳ありません」
あっ、笑われちゃった。変なこと言ったかしら?
「いや、皇帝殿下夫妻にはそんなこと言わなかったのになぁって」
そう言えば…と思い返して恥ずかしくなった。
はっ、この方に告白をしたんでした。お恥ずかしい。しかもこのような格好で。
「ふむ。コリーナ嬢は素顔で美人なのだな。俺に付きまとう香水臭い貴族令嬢なんかは化粧を落とした顔はどんなもんだか……」
確かに廊下で騎士様待ちをしている令嬢様達の素顔はどうなっているのか興味はありますね。
「ダガーズ様に褒めて頂き光栄です」
「コリーナ嬢の告白の返事なんだが」
「まだ、出会ってすぐですしお返事は今すぐにとは申しません。どうぞゆっくりとお考え下さい」
「兄上が遠征から俺を外したおかげで俺には多くの時間があるんだ。その時間でゆっくりとコリーナ嬢の事を知りたいと思う。お互いの事をよく知りもしないで婚約とか俺は無理。皇族が甘っちょろい事をと思うかもしれないが、俺はそういう人間だ」
はい。そういう人間の貴方が好きなんです。
コリーナちゃんは頑張りました!そして、気を使いすぎて、失神です。今どきの若いもんには見ない現象だなぁ。




