15.コリーナ、カフェを利用する。
弁当を持ってこなかったことは良かったのかな?どうなんだろ?
学園長が仰ったように確かにカフェを利用している方は減っていた。
おかげで、私もゆっくりとメニューから選ぶことができたんですけれども。
「あら?コリーナ様がカフェでランチ?」
どこで食べようと自由じゃない?干渉されたくないわ。
「今朝はちょっと忙しくて弁当を作っている時間がなかったので」
「あの弁当って自作でしたの?コリーナ様は良家の子女ですから厨房の方に無理を言って作って頂いているものだと思い込んでいましたわ」
ゆっくりランチ……。
「他の方は家の厨房の方に作って頂いているようですけれど?良家の子女が厨房に入るのはどうかと思いますが……」
「そのことについては、コリーナ様の専属侍女でありますこのルナが説明を致します。コリーナ様が厨房に入られることにつきましては、陛下もご存じの事。さらに、陛下はコリーナ様の作った料理を非常に美味しく食べていらっしゃいます。お気に入りのご様子」
「そ、それは姪が作った料理だからじゃなくて?」
「最初にお菓子を作った際に、コリーナ様が作ったということ伝えずにお渡しいたしました。結果は非常に好まれ、褒美を取らすからパティシエを呼ぶようにと私共に仰られたほどです。その時に初めてコリーナ様が作ったものだと言いました。これでも何か?」
「お菓子は美味でも他の料理はどうだか……?」
ルナがヒートアップしちゃうからやめてほしいなぁ。
「最初にお菓子を選択したのは、包丁を使わずに作る事が出来るからです。お菓子を作った後、毎週末厨房で料理を料理長に習い、料理の腕を磨いたのです。毎週末お嬢様が作る料理を皇帝ご夫妻が楽しみにしてらしたのも事実です。なんなら、皇城に問い合わせては?」
ルナが対応している間、私はランチを食べることができたので良かったと言えばよいのですけれど、褒め殺し……。
絡んできた令嬢とその取り巻きは「覚えていなさいっ」みたいなことを言って去って行かれました。
覚えているもなにも、あの令嬢名乗りもしないからどこの誰かもわかりませんし、今後多分覚えていないと思います。
ルナはいつランチを食べているのだろう?
私が授業を受けている時かな?
カフェ、一般開放するとかできないのかしら?
警備の問題があるから無理があるわね……騎士様なら?身元はしっかりしているし、なにより食材を大量消費して下さるわよ?
フェロー様に相談してみましょう!
「あぁ、今朝はみんなヒートアップしちゃってスマン!遅刻しなかったか?」
「それは大丈夫です。ルナは優秀なので、そのようなヘマはしません。―――あ、あのっ弁当を作れなくてカフェを利用してランチをいただくことにしたのですが「不届きな令嬢がコリーナ様にからんできました。ゆっくりランチをいただくはずが、邪魔が入りましたね」
フェロー様にお話したかったのはその事じゃないのよ!
「あの、そんなこともあったのですが、確かにお昼時だというのにカフェに人が少なかったです。カフェの収益も国費になるのですよね?」
「あ、ああ。どうした?急に??」
「それでですね、カフェを一般開放したら?と思い立ったのですがそれは警備の問題がありますから無理でしょう?でしたら、騎士様ではどうでしょう?お腹をすかせた騎士様ならばカフェで仕入れた材料を全て食べ尽くしてくれるかもしれません。街中の食堂よりも安価ですし、令嬢は騎士様との出会いの場になり、令息としても自分の先輩を見るかもしれないというメリットがあります。どうでしょうか?安易だったでしょうか?」
「まぁ、安易と言えば安易だが面白いな。問題は―――騎士が学園のカフェの方に流れて街中の食堂の収益に影響がでるのでは?ということだな」
迂闊だった…。正直そこまで考えていなかった。
「カフェの仕入れ量を調整すればいいんじゃない~?それに、元々生徒が利用するための施設だし。仕入れ量はそんなに多くないはずよ~?完売続出で騎士達も街中の食堂に大人しく行くんじゃないかしら?」
なかなか難しいのですね。国益とか?出てきたし…。




