14.コリーナ、努力する。
「私はダガーズと言葉を交わしてないんだがな……」
「ダガーズの照れ隠しじゃないんですか~?」
「あいつは変なところ素直なんだよ、本当に思ったことを口に出してると思う。会話をしたのは、コリーナ嬢とその専属侍女だよなぁ?名前を付けるなら、『コリーナ嬢とその仲間たち』だと思うんだが?」
「フェロー様がこの中で一番偉い方だったからではないですか?」
「それも考え得る。あいつの考えている事はよくわからんなぁ」
それなら……初恋の私にわかるわけないじゃないですか!
私は今後どうすればいいんだろう?
「私はこの後どうすればいいのでしょうか?」
「ダガーズが相手だもんなぁ。とにかく、コリーナ嬢の気持ちをわかってもらう!」
「そのためにはどうすればってなるのよ~!もうっ恋する乙女心がわかってないわねぇ」
「イベントごとにアピールを欠かさずに行うとか?」
「他の令嬢と同じでしょう?」
「「「コリーナ(嬢/ちゃん/様)しかできないこと……」」」
「「「美味しい手作りお菓子!」」」
確かに私だけでしょうけど、王弟ですから、毒見が入るのでは?
「刺繡をしたハンカチなどは?」
「騎士様はハンカチを使うでしょうか?」
「では、刺繡をしたタオル」
難しいですね。
「参考までに、フェロー様はどのようにシーラ様からアピールされたのですか?」
「ダメよ~。ほら、私達は今でこそこんなだけど、これでも政略結婚だもの。参考にならないわ~」
そもそもタオルに刺繍を刺しても、模様は見えないのでは?
「タオルなら、名前とかになるんじゃないでしょうか?イニシャル?タオルの効果に邪魔になりそうな気がしますけど?」
とにかく!私の気持ちをわかってもらうことが重要よね?
よーし、頑張るぞ~!!と、私は拳を高く振り上げた。
「お嬢様いけません!はしたのうございます‼」
もう、四の五の言ってられないのよ。やるっきゃないのよ!
騎士様よね?体力も腕力もあるでしょうから、私もそれなりに体力をつけましょうか。
とりあえず、毎朝王宮内を迷子にならない程度にランニングよ!
変な筋肉がつかないように、ルナには注視してもらおう。
「ランニングをするようになったからかしら?朝食が一段と美味しいわ」
「コリーナ嬢…ランニングなんかしているの?」
「恐れながら、陛下。お嬢様はダガーズ様は体力も腕力もあるだろうから、自分もとランニングを始めました。お嬢様の熱意が変な方向に向かっていかないように注意深く見守っております」
「ルナと言ったか?お前も大変なんだな……」
「畏れ多く、もったいなきお言葉」
ルナがフェロー様と会話をしていて、なんだか神妙ですけど―――何かあったのかしら?
「コリーナちゃん、ランニングしてるの?」
「はい!王宮内で迷子にならない程度なので距離はないのですが、始めた時よりは体力がついたように思っています」
「フフフっ、楽しそうで何よりよ。あら?歓談をしていたらもうこんな時間、コリーナちゃん大変よ!遅刻しちゃう‼」
ルナと二人大急ぎで登校の支度をしての登校となった。急いでいたから今日は弁当を持っていなかった。
恋する乙女を自覚したコリーナちゃんは可愛いなぁ。




