2-1
櫻ノ海中学校、2年C組の窓から見える紅葉は今年も変わらない綺麗な色をしている。
そんな、現実離れしている景色を横目に友達と食べる、お昼は贅沢な時間だ。
「希!ウインナーとんないでよぉっ」
「美味しそうな食べ物は先に食べないと取られちゃうよ?食べ物も男も一緒。誰よりも先に行かなきゃ」
希はクラスの中でも一際目立って美人で、多少抜けている所も有るが、成績は中の上。櫻ノ海では、一軍だと胸を張れるだけのステータスを持っていた。いつも、何にしても前のめりで典型的な自信家だ。
「紬はさ、何で好きな食べ物を後に回すの?」
「だって最後の楽しみに取っておきたいんだもん」
「そんな事を言ってる間は、また私に取られちゃうよ?」
「困る事言わないでよ。でも希は優しいから何だかんだ本当に大事な存在は強引に奪ったりしない。よね?」
「皆、紬みたいにお人好しじゃないんだよ?自分の人生なんだから。ガンガン行かなきゃ」
紬はいつも、自分の気持ちは一番最後。一歩引いた所に立っていて誰かが来たなら道をゆずる。そんな生き方が癖ついているのを見て、希は友達として居ても立っても居られなかった。
「食べ物に関しては、正直どうでも良いんだけどさ。。紬って好きな男子とかいるの?」
「いるには、いるけど。。」
「え!?初耳なんだけど。同じクラスなの??イニシャルは??」
希の質問ノックが始まった。こうなると名前を聞くまでは開放してくれそうにないな、と半分諦めの気持ちが出てきたが紬は、そう簡単に好きな人を教える事が出来ない。
「誰かは聞いて欲しくないんだけどさ。。多分なんだけど、その人に彼女が要るっぽくて。希ならそういう時ってどうするの?」
「私かぁ。そうだな、、付き合える付き合えない関係なく告白はするかな。だってさぁ、自分の人生だし。」
「すごいなぁ、、。今、その壁に当たってるんだよね」
「意外と恋する乙女やってんね」
「うるさい、ばかにしないで」
一瞬、時が止まったかと思うくらいの静けさの天気が一変し、外から入る強めの風が窓にぶら下がるカーテンを容赦なく、なびかせる。
希の空気間も変わり、まるで大人の女性のような雰囲気で口を開いた
「友達として一言だけ言わせて。私は紬の一歩引いたモブキャラみたいな生き方が唯一気に入らないの。紬の人生なんだから。紬としての人生はたった一度だよ?」
希は友達として放っておけないことを、素直に話をして紬の頬を両手で挟む
「当たって砕けてこい。泣き崩れたら一緒に泣いてあげるから。一緒にグシャグシャになるまで泣こ?」
「希。希ぃ。本当にありがとう。気持ち悪がらないでね。何があっても友達だよ?」
「当たり前じゃん。そんな簡単に友達じゃ無くなってたまるかっ。気持ちが乗ってるうちに今すぐ行ってこいっ」
紬の、おでこに一発デコピンをかまし無邪気に笑った。
「ありがとう」
「行ってくるね。」