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199 新生ジェルファ王国建国準備

 教国軍の撤退……転進が急速に進むあわただしい中、迎えを出していたエリスとクレアさんが到着した。


 新生ジェルファ王国の国王候補と宰相候補の二人を迎えて、俺はとりあえず現状を報告する。



 ……一通り話を終えた所で、ちょっと気になっていた事を訊いてみよう。


「クレアさん、荷車付きで教国軍の食料補給をやる事になっちゃったんですけど、大丈夫ですかね?」


「問題ありません。食料はアルサル殿のおかげで大豊作だったので余裕がありますし、荷車も生産できます。教国軍を撤退させる代償としては破格の安さと言えるでしょう。


 そもそも食料に関しては、撤退しなければこの辺りで略奪をしていたでしょうから、国単位で見れば差し引きゼロです。それに、どうせ長い事はないでしょう?」


「うん、多分ね……」


 さすがクレアさん、もう国単位で考える事ができるようになっている。やはり宰相の器だね。


 そしてしれっと『長い事はない』と言ったけど、教国軍は消耗した2万5000の兵力で、8万の帝国軍精鋭部隊に戦いを挑むのだ。


 いくら背後を取れると言っても、相当厳しい戦いになるだろう。


 前方の本国軍とうまく連携できればワンチャンあるかもしれないけど、携帯はおろか無線機もない世界だ。離れた場所と連携を取るのは難しいだろうし、教国軍はそういう戦略が苦手なイメージがある。


 多分クレアさんの言う通り、『長くない』だろうね……。



 ――とはいえそれは、俺達も人事ではない。


 新生ジェルファ王国の独立を保つためには帝国軍と戦わなければいけない訳で、俺達も同じ事をしなければいけないのだ。


 その準備も平行して進めないといけないので、とにかく忙しい。


 建国と内政に関してはエリスとクレアさんが。軍関係はメルツとメーア、シーラや元冒険者の子達が熱心に動いてくれるので、俺は大まかな所をやればいいだけだから、そこは楽だけどね。


 とりあえず、王都で知り合ったミリザさんをエリスとクレアさんに紹介し、特にクレアさんとは時間を取って意見交換をしてもらう。


 俺の中でミリザさんは内務大臣候補で、裏社会の人と聞いてエリスもクレアさんも警戒していたようだが、話してみるとそれなりに打ち解けたようだ。


 ミリザさんの能力が優秀な事は間違いないし、裏社会に通じているというのも、大きな利点だからね。


 実際すでに、王都内の治安維持でお世話になっている。


 ミリザさんの方はエリスがまだ若い事を気にしていたようだけど。『俺も若いですよ』と言って場をなごませ、後はエリスの能力を見てもらう事にする。


 しばらく一緒に仕事をしてもらい、それでもし上手くいかないようだったら……その時は色々考えないといけないかもしれないね。



 とりあえず建国側はそんな所で、他には内政だ。


 建国式典が終わってからとか悠長な事は言っていられないので、今から打てる手は打っておく。


 北部解放区に避難した人達の帰還を進め、生活を再建する。

 これはエリスとクレアさんの働きに期待だ。


 そして、王国民の中にも帝国に協力していた人達がいるので、その人達との揉め事も最小限になるように気を配る。


 代表的な例が俺が塩を卸していた支店長さんだけど、今は王国民同士で争っている場合じゃないからね。


 帝国と結んで利益を上げていたなら、それを没収して国庫に編入。一部を地元に還元くらいで穏便に収めたい。


 もっと直接的な危害を加えていた場合は、法に沿った罰を……という事になると思う。



 そして軍事方面では、教国軍の転進を進める一方、王都内の帝国軍とも連絡を取っている。


 帝国軍は現状、王都内でも更に守りが堅い王城内に全軍が集結していて、街は事実上解放状態だ。


 今はまだ街壁の外に教国軍がいるので無理だけど、もう少ししたら北の解放軍訓練場だった場所に移ってもらう予定である。


 国内向けには降伏して捕虜になったと発表し、帝国軍向けには和睦わぼくが成立しての、名誉ある退去と説明する。


 退去する時に街の住民と接触して揉めたりしないように、ミリザさんの協力も得て対策を講じる。


 これに関しては解放軍もかなり反帝国寄りなので、実に気を使う部分だ。


 解放軍訓練所跡に移った後の警備も、特に人を選んでトラブルを避けるようつとめる。

 ある意味これが一番大変かもしれない。


 そして帝国兵達には、帝国に戻っても逃げた指揮官達の面子めんつのため故郷に帰る事は許されず。口封じのために辺境か最前線送りになるという話を広め、将来帝国の現権力者達と戦う下地を作ってもらう。


 これはセラード達の担当だ。頑張って欲しい。


 ……そしてその一方で、王都でも志願兵を募って解放軍を増強し、帝国軍との戦いにも備えないといけない。



 これら全部を平行して行い、建国宣言の式典も準備しないといけないのだから、それはもう目が回るような忙しさである。


 ――だけど忙しさにもいい所があって、とんでもない業務量を次々的確にこなしていくエリスとクレアさんの姿に、ミリザさんの二人に対する評価は順調に積み上がっているようだ。


 この様子なら、国王・宰相・国務大臣で上手くやっていけそうな気がする。


 俺としても一安心だ。



 そんなこんなで大急ぎで準備を進め、暑さ厳しい8月の終わり。ついに新生ジェルファ王国の建国が宣言される日がやってきた……。




帝国暦168年 8月30日


現時点での帝国に対する影響度……1.2422%(±0)


資産

・2490万ダルナ

・エリスに預けた反乱軍運営資金 5640万ダルナ


・元宝石がいっぱい付いていた犬のぬいぐるみ(今はおでこに一つだけ)

・エルフの傷薬×5


配下

シーラ(部下・解放軍精鋭部隊長・C級冒険者 月給50万)

メルツ(部下・解放軍総司令官・E級冒険者 月給35万・内15万を上級傷薬代として返済中)

メーア(部下・解放軍総司令官補佐・E級冒険者 月給35万・内15万を上級傷薬代として返済中)

エリス(協力者・解放軍後方参謀・将来の息子の嫁候補 月給10万と月30万を宿借り上げ代として支払い)

ティアナ(エリスの協力者 月給なし)

クレア(部下・解放軍支配地内政担当 月給29万 内24万は帝国暦169年5月分まで前借り中)

オークとゴブリンの巣穴から救出された女の人達24人(雇用中・北の拠点生産担当と中州の拠点運営担当 月給12万)

元孤児の兵士達103人(部下・解放軍部隊長 月給3万 兵士97人 北の拠点の船舶担当5人 医療班1人)

セファル(部下・アルパの街の物資管理担当・C級冒険者 月給30万)(弟も同職 月給10万)

ガラス職人(協力者 月給15万・衣食住保証)

船大工二人(協力者 月給15万・衣食住保証)

怪我を負った孤児の子達43人(北の拠点で雇用 月給7.2万)

キサ(部下・専属護衛・遊牧民 月給48万)

セラードとその妹リーズ(部下 元帝国西方新領州都防衛隊長 元子爵家子息)

ミリザ(協力者 ジェルファ王国王都を仕切る裏稼業三代目)

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