第三話
しかも人畜無害そうな顔をしている天飛も、「え~もう終わったの?残しといてほしかった。」とつまらなさそうに言っていた。
「はぁ……。お前な。あんな事があったのに一人で登校するとか楽観的すぎんねん。連絡も出来ひんの?」(心配やから俺に連絡してほしかったなぁ)
確かに心配をかけてしまっただろう。
「しゃあない。俺が直々に一緒に居ったるわ。同じクラスやし……」(っしゃあ!翠と一緒に居れる口実が出来た!ほんまは家から学校からずっとずっと翠と一緒がええし、居られへん時は監視カメラでもつけて大丈夫かどうか見張りたい……)
副音声がとてつもなくやばい気配を感じさせているのですがそれは。
いつもは人の顔色を盗み見て気を遣ってくれる天飛が、「良いじゃん!」なんて喜ぶ。
良いんだけど、せめてその副音声さえなければ手放しで喜べたかなーなんて。
そんな会話をしながら教室に着く。
アタシと冬眞は同じクラスなので一緒に入るが、残念ながら天飛とは別の教室なので、「何かあったら呼んでな。屋上待機しておくから」なんて言って去って行った。
いや、折角学校来たんだから授業受けろよ。
なんてツッコミをココアシガレットを咥えた天飛に心の中で入れた。