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この異世界の果てまで。  作者: 井ノ中かえる
第二章 寄生するものとされるもの
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とある旅商人の日誌・2

(名も無き旅商人により記録された、異世界の生活、また原生生物に関する観察、沈思黙考の日誌)



『リガートゥルセージ』

生物に寄生する寄生植物である。

リガートゥルは「束縛」セージは「救済」を意味する。

この名前をつけたこの世界の昔の人は「肉体は魂を束縛する檻であり、植物はそれを救済する」と考えており、一部地域では死期の迫った物にこの植物の種を飲ませ、その遺体から生えた木をそのまま墓標にすると言う風習が今でも残っている。


もしこの植物の種子を体内に入れ、寄生されてしまった場合、人間の大人であれば二ヶ月から三ヶ月程度で症状を発症する。潜伏期間に症状はなく早期発見が困難な上、全身に根が伸びてしまった場合は既に治療が困難な場合が多い。

発症後は体内から皮膚を突き破り無数の枝が伸びる為、非常に痛々しく見えるが、実際のところ既に肉体の殆どは植物の一部となっている為、苦痛は感じず眠るように息を引き取るのだという。



『スライム』

この世界には様々な生物が存在し、スライムはその代表たる例である。

彼らは粘液の集合体のように見えるが、単細胞の群体(増殖した多数の別個体が一つの個体に合わさり一つの生物の形をなしているもの)である。

その為、たとえ切り離されても潰されても多少細胞が死滅するだけで、息絶えることはなく。またしばらくすると元の大きさまで再現する。


この生物が最も厄介とされるのはその単細胞が他の生物に寄生し感染症を誘発するということである。

彼らを直接体内に取り入れた場合、また感染者との同性/異性間性的接触によって感染を引き起こす。潜伏期間は三日から一週間であるが、体格によっては一ヶ月に及ぶこともある。寄生された場合の感染症発症率は70%と高く、発症した場合は下痢・発熱・血便・腹痛などをともなう大腸感染症を引き起こす。

万が一寄生されてしまった場合、体内のスライムを下す薬を経口摂取するか、経口摂取が不能の場合は医療魔術師を呼び、体内のスライムだけを死滅させる必要がある。


また仮に感染者が死亡した場合、更なる拡散を防ぐため、担当医は一週間以内に遺体を火葬する事が義務付けられている。私も以前一度だけ、スライム感染によって滅んだ村を見たことがあるが。その灰と炭だけの悲惨な村の光景は今でも忘れることができない。

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